2016年12月2日よりスタートしたアニメ映画『君の名は。』の中国公開が、ファンや関係者の期待に応える大ヒットになっている。12月2日から4日までの初週末3日間の興行ランキングで第1位に登場、興行収入、チケット販売で公開から2週目を迎えた2位『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』をおよそ3倍の数字で圧倒した。
中国の映画興業情報の艺恩网 EntGroupの集計によれば、週末3日間の興行収入は約2.6億元(約43億円)となった。この数字は、2016年に中国公開された映画の中でトップクラスとなる。これまでの日本映画で中国最大ヒット作『STAND BY ME ドラえもん』を上回る。最終興収も同作の5億3000万元(約87億円)を上回ることが期待される。
中国では海外映画の上映規制もあり、2015年までは日本映画はほとんど公開されていなかった。しかし、2015年の『STAND BY ME ドラえもん』の大ヒット以降、アニメ映画を中心に日本映画の現地での公開が相次いでいる。
2016年には『君の名は。』まで、11本が公開された。またヒット作も相次いでいる。中国での日本映画の歴代興収ベスト10のうち2016年公開が8作品を占める。
2016年公開の日本映画の興行収入は、現時点で日本円で130億円を超えており、今後『君の名は。』がさらに数字を伸ばすことが予想される。2016年の日本映画の海外興行市場は中国が最大になりそうだ。とりわけ上位のほとんどを占めるアニメ映画は、国内外に大きなインパクトを残すだろう。
これまで日本アニメの海外興行では、北米やヨーロッパの市場が注目されてきた。しかし、北米では限定公開が大半で、ごく限られた作品以外で全米公開は実現していない。ヨーロッパでもフランスを除くとその公開は限られている。
『君の名は。』は、中国以外でも台湾、香港、タイで興行ランキング1位になるなどアジア地域でヒットしている。今後、日本アニメ業界が欧米からアジアをより重視する可能性が高くなる。中国での海外配給は、権利買い切りが多いなど収益化には課題が多い。しかし、そこに膨大な日本アニメのファンがおり、巨大な市場があることは確かだ。新たなチャンスを求めて、中国とのビジネスも拡大しそうだ。
日本映画 中国での歴代興行収入ベスト10
1.『STAND BY ME ドラえもん』 (2015) 5.3億元
2.『君の名は。』 (2016) 2.96億元 *公開中
3.『ONE PIECE FILM GOLD』 (2016) 1.07億元 *公開中
4.『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』 (2016) 1.03億元
5.『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』 (2016) 1.03億元
6.『名探偵コナン 業火の向日葵』 (2015) 8100万元
7.『寄生獣』 (2016) 4800万元
8.『聖闘士星矢 SAINT SEIYA – LEGEND of SANCTUARY』 (2016) 3700万元
9.『ビリギャル』 (2016) 3700万元
10.『名探偵コナン 純黒の悪夢』 (2016) 3000万元 *公開中
*艺恩网 EntGroupの数字を集計し作成
*2016年12月5日12時段階