「dTV」がブランド刷新「Lemino」に 月額990円と無料の2つのサービス

Lemino

 定額課金型映像配信の有力プラットフォーム「dTV」が、2023年4月12日にサービス体系を一新した。ブランド名も「Lemino(レミノ)」に変更した。dTVの顧客を引継ぎながらも、新しいサービスとしてビジネス開拓を進める。
 新サービスにあたっては、オリジナル作品や独占タイトルなどのラインナップの強化も図られている。しかしdTVとの一番の違いは料金体系である。
 dTVはNTTドコモ系の映像プラットフォームで、これまでは月額550円(税込)で全作品見放題のサービスを提供していた。しかしLeminoでは見放題の月額課金は990円(税込)と倍近い価格に上る。同時にこれまでにはなかった広告をつけることで無料視聴できる作品を設ける。よりプレミアな作品と広く視聴できる作品に分けることになる。

 こうしたサービスの一新は、昨今の映像プラットフォーム事業環境の変化も理由にあるだろう。動画配信市場は引き続き高い成長を続けているが、日本国内には多くのプラットフォーマーが存在し競争が厳しい。昨今は事業売却も相次いでいる。
 市場シェアでは次第に上位プロバイダーへの寡占が強まっており、市場拡大の恩恵は外資系プラットフォーマーのNetflixやAmazonプライム・ビデオ、ディズニープラス、あるいはU-NEXTなどに偏っている。逆に市場黎明期に存在感のあった通信キャリア系のサービスのシェアは漸減傾向にあった。2020年4月にはau系のビデオパスが、テレビ朝日との合弁事業「TELASA」に移行したりもしている。

 dTVはもともとエイベックスとドコモの合弁事業であったが、2022年12月にエイベックスが持分株式をNTTドコモに全て売却している。資本関係が大きく変ったのを機に、今回の抜本的なサービスリニューアルを図ったかたちだ。
 定額課金の大幅上昇は、オリジナルや独占タイトルが買付け競争で高騰していることを反映していると見られる。Leminoではサービス価格を上げてでも魅力的なタイトルを揃えることで、契約者数のアップを目指す。
 無料視聴作品のサービス開始は、TverやABEMAなどで広告をつけて無料配信するサービスの好調を反映している。そうした市場の一部を取り込む狙いがあるだろう。ドコモは新しいサービスとブランドであらためて動画配信市場の成長に取り組むことになる。

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