米国のアニメーション業界でウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの2Dアニメーション復帰が噂されるなか、2021年12月15日からスタジオが気になる人材募集を開始した。「2022年才能開発プログラム-2Dアニメーション・トレイニー」としたもので、2Dアニメーションを目指す若手を募集する。
これに選ばれるとカリフォルニア州バーバンクのスタジオにて2Dアニメーションのテクニックを学ぶことになる。最初の4ヵ月は伝統的なアニメーションやスタジオ文化についてディズニーのスタッフと共に身につける。キャラクターの動かし方の基本、エフェクト・アニメーション、動画などが含まれる。残りの8ヵ月はそれぞれの関心に応じて教育を受ける。研修後に、今後の担当職務などを決める。
今回のプログラムでなんと言っても注目されるのは、手描きアニメーションにフォーカスしていることだ。募集要項では鉛筆を使った絵の表現、原画の描き方、動画のテクニックなどが言及されている。
さらに指導者には、エリック・ゴールドマン、マーク・ヘン、ランディ・ヘイコック、レイチェル・ビブといった手描きアニメーターの名手たちの名前が挙がっている。かなり本格的な2Dアニメーションの研修プログラムである。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは1923年の創立以来の長い歴史を持つ米国のスタジオである。1937年の『白雪姫』から始まり、『ファンタジア』や『美女と野獣』『ライオンキング』まで数々の傑作を制作してきた。
しかしアニメーションの中心が2Dから3Dに移る中で、2000年代以降は2D部門を縮小しフルCGを中心に制作するようになっている。手描きの長編アニメーション映画の制作は2013年の『くまのプーさん』が最後、製作予算1億ドル規模の大作は2009年の『プリンセスと魔法のキス』が最後になっている。2013年には手描きアニメーターの多くを解雇することで、事実上2Dアニメーションの制作は停止している。2006年に同じディズニーグループとなったピクサー・アニメーション・スタジオはフルCGのみを制作している。
今回のプログラムが本格的な2D復帰につながるかは、未知数である。ただし、手描きの技術を絶やさないとの意識はみてとれる。
研修生に応募できるのは18歳以上で業界経験3年未満、もしくは専門課程を終了していることだ。応募にあたっては履歴書と2分以内の映像リールが必要になる。