音楽・ライブ・映像のエイベックスの業績が回復基調に乗ってきた。2022年11月11日に発表した2023年3月第2四半期決算は、売上高540億6000万円(16.7%増)、営業利益36億1900万円(37.4%増)、経常利益37億7100万円(43.8%増)、当期純利益(99%増)と増収増益となった。
好調な業績はコロナ禍対応が進む中で大型ライブ公演の開催が増加した音楽事業に加えて、アニメ・映像事業の売上げ増加も貢献した。こうした実績は当初予想を上回っており、エイベックスは通期連結の業績予想の上方修正も合わせて発表した。当初10億円としていた営業利益は40億円に、4億円の当期純利益は33億円に、それぞれ引き上げられる。
全体の事業は、「音楽」「アニメ・映像」「デジタル」「その他」に分けられている。このうちアニメが中核となっているアニメ・映像事業は売上高65億円で、前年同期比27.5%増と大きかった。DVDやブルーレイは14億7800万円と11.7%の減少となったが、非パッケージ部門が51億400万円と46.3%増と大きな伸びとなった。
期間中の主力コンテンツはアニメでなく、アニメから派生した実写映画だった。アニメシリーズ『おそ松さん』の実写映画が人気アイドルグループのSnow Manを主演にしたこともあり、興行収入16億円、観客動員数110万人、ブルーレイ8万4000枚、DVD5万枚のヒツトになった。また配信作品ではNetflix独占の『スプリガン』がNetflixの日本ランキングで首位になるなど好調であった。
しかし映像作品向けの投資も拡大しており、営業利益は2億2700万円と前年同期とほぼ同じ水準だ。今後は投資の成果を期待することになる。
アニメ関係では、音楽事業の海外部門に含まれる中東での大型イベントが大きな成功になっている。8月にサウジアラビアのジェッダで開催した体験型イベントエリア「アニメビレッジ」である。
アニメビレッジは『進撃の巨人』、『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』、『ゴジラ』など日本の12のアニメを集めたイベントでエイベックスが地元企業のセラは協力してプロデュースした。約600万人が参加した「ジェッダ・シーズン2022」で5月から7月まで開催した。
これが海外事業の売上げ、利益に大きく貢献したとしている。サウジアラビアではアニメなど日本のコンテンツが求められているとし、今後も積極的に同地域で事業開発を進めていく方針だ。