アニメ制作Seven Arcs、自社原作のアプリゲーム「INFINITY SOULS」を開発

INFINITY SOULS

TBSグループのアニメーション制作会社Seven Arcsが、自社オリジナル作品でのスマホアプリゲームに乗り出す。TBSは2020年6月30日に、Seven Arcsが自社開発したオリジナルのスマホアプリゲーム『INFINITY SOULS』をリリースすると発表した。
 『INFINITY SOULS』は基本プレイ無料のRPGで、アプリ内課金で収益化するとみられる。作品の舞台は仮想空間が行きわたり電脳犯罪が多発するようになった時代。「通信情報防衛機構-C.I.G-」は、誰かを救うために事件捜査と人命救助に従事する。豊富なバトルと戦略性の高さが特徴だ。
 原作をSeven Arcsが担当するほか、シリーズ構成とメインシナリオを『魔法少女リリカルなのは』でお馴染みの都築真紀が担当する。『魔法少女リリカルなのは INNOCENTS』の川上修一がアートディレクターとメインイラストを手がける。メインイラストには『魔法科高校の劣等生 追憶編』の依河和希も参加する。
 ゲーム開発はクローバーラボが担当。またビジネス展開にあたっては『マギアレコード』や『ツイステッドワンダーランド』といったヒット作のあるアニプレックスと協業する。

 Seven Arcsは持株会社TBSホールディングスでの子会社で、TBSが協力に推進するアニメ事業の戦略拠点との位置づけとされている。TBSはアニメを中核にオリジナルIP(知的財産)とデジタルコンテンツの開拓を掲げている。そうしたなかで高いコンテツ創出力をアニメだけでなく、ゲームでも活かすことになる。同社がスマホアプリゲームに進出するのはこれが初だ。
 昨今、テレビ局や映画会社など既存の大手メディアがアニメへの積極進出を掲げることが増えている。そのる際に台風の目となっているのがスマホアプリゲームだ。アニメ事業の強化として並行してゲーム事業も立ち上げている。
 アニメビジネスで先行するフジテレビは2016年に株式会社フジゲームスを設立して『ファントム オブ キル』『誰ガ為のアルケミスト』といったヒット作をだした。
 また東宝はゲーム事業レーベル「TOHO Games」を立ち上げ、ゲームの内製化を目指して積極的な人材採用をしている。出版では集英社も今年3月に株式会社集英社ゲームズをスタートした。

 しかしスマホアプリゲーム市場は、常に新タイトルが大量に供給される競争の激しい世界だ。ゲームの開発費もかつてに比べてかなり高い水準にある。リスクは低くない。
 それでも各社がこの分野に目をつけるのは、映像やキャラクターとの相性のよさだろう。自社が権利を持つアニメやキャラクターのゲーム化はヒットすれば大きな利益をもたらすし、人気ゲームのアニメ化や商品化も連動しやすい。
 またDVDやブルーレイの売上が依然ほど大きくない現在、アニメ製作の投資回収は国内外の配信権販売に偏りがちだ。そのなかで配信以外で大きな収入をもたらすのがアプリゲームというわけだ。かつて映画会社やテレビ局の多くがビデオソフトメーカーを子会社としていたのと同様の考えがゲーム子会社でも成り立つ。

INFINITY SOULS
http://infinity-souls.com
原作: Seven Arcs
シリーズ構成・メインシナリオ: 都築真紀

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