2022年1月13日に発表されたメディアドゥの2022年2月期第3四半期決算は、引き続き顕著な成長を確認するものとなった。第3四半期までの連結売上は787億6700万円と27%の増加。通期では初の売上高1000億円越えを視野に入れる。
営業利益も22億5000万円(4.6%増)、経常利益22億3000万円(1.5%増)となったものの、伸び率は売上を下回った。また当期利益は、連結子会社Nagisaの減損処理に伴う特別損失3億9400万円を計上したことから13.3%減の10億9600万円となった。
業績の伸びは電子書籍市場全体の高い成長に支えられている。電子書籍流通事業は749億3500万円と売上高の9割を占めるほどだ。営業利益も20億5200万円とこちらも全体の9割以上となる。LINEマンガやAmazon Kindle、コミックシーモアなどの電子書店向けの書籍流通での高い市場占有率が強みになっている。
巣籠り需要が落ち着いてきたこともあり伸び率は第1四半期、第2四半期に較べて小さくなったが、依然成長が期待できる分野だ。
売上げの残り5%となるその他事業は、過去数年の新規及びM&Aによる多角化事業からなる。ビジネス書の要約配信サービスのフライヤー、電子コミックのカラーリングや作画支援サービスのアルトラエンタテイメント、米国の書籍情報管理のファイヤーブランド、日本文芸社、JIVE、電子書籍閲覧のJコミックテラスなどだ。海外向けのアニメ・マンガ情報コミュニティのMyAnimeListも含まれる。
売上げは38億8300万円、これに対して7300万円の営業赤字と前期に比べて幅は小さくなったが赤字が続いている。それでも単独事業への依存率が大きいことから多角化は不可欠。さらに業界内での独自ポジションから様々な派生ビジネスを期待出来るのは間違いないため、今後も多角化は重要課題になる。
さらに今期は広い分野から関心を集めるNFTに進出してデジタルコンテンツのマーケットプレイス「FanTop」を立ち上げ、共同映像視聴アプリ「GREET」をスタートした。また今期も小説投稿サイトの「エブリスタ」や英語圏の書籍マーケティング会社Supaduと相次いで買収している。今後は相次ぐ新規事業やM&Aの成果をどの程度の期間で実現していくかが問われそうだ。