日本コンテンツの海外展開に大きな関心が集まるなか、ジェトロ(日本貿易振興機構)が米国における日本のアニメとマンガのビジネス状況の最新調査「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート(2024年版)」をリリースした。海外のコンテンツ市場調査では定評のあるジェトロだが、アニメやマンガにフォーカスしたものは2017年の「米国コンテンツ市場調査 2016年度版」以来となる。
レポートは2024年7月4日から7日まで、米国ロサンゼルス市のコンベンションセンターで開催された「Anime Expo 2024」に合せて発表された。今回ジェトロはイベンの展示会場内に「Geek Street」と名付けた過去最大のブースを出展、日本企業16社が参加した。コンテンツ関連市場の開拓に力を注ぐ。期間中延べ1万5000人が「Geek Street」に訪れたとしている。また業界関係者を招いたネットワーキングパーティーとセミナーを開催し、この場でレポートの内容が披露された。
「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート」は、総ページ数43ページ。副題として「米国有識者インタビュー等に基づく分析レポート」としており、現地ビジネスの有力者に多くインタビューをし、生情報を多く掲載しているのが特徴となっている。
11社に及ぶ関係者にはバンダイナムコ、サンリオ、東映アニメーション、タカラトミーなどの現地法人、またクランチロール、GKIDS、VIZ Mediaなどアニメ・マンガのビジネス関係者にお馴染みの会社が含まれている。インタビュー内容は注目度の高い配信プラットフォームの動向のほか、キャラクター商品の流通や小売りなど、関連商品のビジネス状況などが厚くなっている。
後半部分は、北米の日本アニメとマンガの市場規模を予測している。アニメは映像だけでなく、グッズやイベントなど様々な分野にまたがっていることから市場規模の算出が難しい。このため具体的な市場数値は示されたことはほとんどなかった。今回、ジャンルごとに市場規模を算出しており貴重な資料になる。
またアニメと合せてマンガでも現在の市場のほか、2030年までに市場規模の予測もしている。ただしアニメ市場では2030年には2023年の市場の2.8倍にもなっている。マンガも同様に4倍近くになっている。過去の高成長に基づいて数値を伸ばした予測手法は過大にみえ、数値の取り扱いには慎重さが求められそうだ。
ジェトロでは、この他に米国のゲーム産業の市場規模や近年の動向を調査した「米国におけるゲーム市場の動向(2024年版)」も、7月にリリースしている。合せて活用することで、米国のコンテンツ市場への理解が深まりそうだ。
「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート(2024年版)」
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2024/02/c4e281f9a67a5ddb.html
「米国におけるゲーム市場の動向(2024年版)」
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2024/02/c105db2626683d20.html