2021年12月21日、アニメーション界のアカデミーとも呼ばれる米国のアニー賞が2021年作品のノミネートを発表した。映画、テレビ/シリーズ、短編、ゲームなど広い分野にわたり31部門にわたるものだ。
このうち長編アニメーション(インディペンデント)部門は、5作品のうち3作品が『竜とそばかすの姫』『映画大好きポンポさん』『漁港の肉子ちゃん』と日本からとなった。残りの2本のうちひとつが谷口ジローのマンガを原作にヨーロッパで製作された2Dアニメーション『神々の山嶺』と、日本旋風が吹き荒れる。最後の一本は、デンマークのドキュメンタリー・アニメーション『Flee』である。
日本アニメの活躍が期待されるが、『Flee』は今年のアヌシー国際アニメーション映画祭のグランプリ、同じ21日に発表されたアカデミー賞のドキュメンタリー部門と国際映画賞のショートリストに挙がる話題作である。かなり強力なライバルとなる。
アニー賞の長編アニメーション映画の特徴は、知名度の高いハリウッド映画に票が集まるのを避けるため2つのカテゴリーに分けていることである。インディペンデント部門は劇場公開時に999スクリーン以下、制作予算が4000万ドル(約45億円)以下などとしている。
インディペンデント部門以外の長編アニメーション部門は、5作品をノミネートとしている。ディズニーの『ミラベルと魔法だらけの家』と『ラーヤと龍の王国』、ピクサーの『あの夏のルカ』、イルミネーションの『SING/シング: ネクストステージ』、それにNetflixとソニー・ピクチャーズの『ミッチェル家とマシンの反乱』だ。このうち『あの夏のルカ』と『ミッチェル家とマシンの反乱』は配信のみの映画、『ラーヤと龍の王国』は配信と劇場公開が同日、長編メジャー作品部門の位置づけだが配信の影響が強いラインナップとなった。
今回特筆されるのは、『竜とそばかすの姫』が監督賞(細田守)、視覚効果賞(堀部亮/下澤洋平)、美術賞(トム・ムーア/ロス・スチュアート/Alice Dieudonné /Almu Redondo/Maria Pareja)、脚本賞(細田守)にもノミネートされたことだ。これらの部門にはメジャーとインディペンデントの差は設けられていない。作品賞も含めて5部門ものノミネートは、本作がハリウッドメジャーの大作に伍して評価されていることを示している。
日本作品は他でも活躍している。作品賞にはノミネートされなかったが、音楽賞では『えんとつ町のプペル』(小島裕規/坂東祐大)。最優秀テレビ/シリーズ(一般向け)では、ディズニー+で配信されたオムニバス『Star Wars: Visions』の1篇『The Duel』がノミネートされた。本作はスターウォーズの世界観に基づいて神風動画など日本のスタッフが制作した。最優秀テレビ/シリーズ(未就学児向け)では、パンダの活躍するCGアニメーション『Stillwater』「Crossing Over / Kind of Blu」が選ばれている。AppleTV+向けに開発された本作は日本のCGスタジオであるポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作している。
アニー賞公式サイト
https://annieawards.org/nominations