THQなどのブランド知られるスウェーデンの大手ゲーム会社エンブレエーサー・グループ(Embracer Group)が、米国の有力コミック出版社ダークホースと事業買収で合意した。エンブレエーサーは中国と香港にある法人からダークホースの発行済株式の80%を、残りの20%を創業者でCEOのマイク・リチャードソン氏COOのニール・ハンカーソン氏の両氏から取得する。
エンブレエーサーはダークホースを子会社とするが、リチャードソン氏とハンカーソン氏は引き続き現職にとどまり経営に携わる。買収価額は非公開、2022年初めまでの買収完了を目指す。
ダークホースは1980年代に設立された米国を代表するコミック出版社のひとつだ。2021年の売上高は100億円あまり、北米では売上でマーベル、DCに次ぎIMAGEやIDWと共に3位‐5位グループを形成する。
本社はオレゴン州ミルウォーキー、ほかにロサンゼルスオフィスも含めて181人の社員がいる。人気作品の創出には定評がある。Netflixでの実写ドラマ化で大ヒット作になった『アンブレラ・アカデミー』、映画やアニメーションなどたびたび映像化されている『マスク』、さらに『ヘルボーイ』、『兎用心棒』、『シン・シティ』などの代表作がある。日本マンガの翻訳出版も少なくない。『ベルセルク』、『GANTZ』、『映像研には手を出すな』、『モブサイコ100』などを刊行する。また『スター・ウォーズ』や『ストレンジャー・シングス』といった映像でヒットした作品のコミカライズも積極的だ。
買収側のエンブレエーサー・グループは、日本ではTHQブランドのほうがお馴染みかもしれない。2008年にストックホルムで設立され、その後現在まで積極的な企業買収で事業を急拡大させている。売上高は直近で約1350億円、スウェーデン最大、グローバルでも存在感のあるゲーム会社になった。ダークホース買収もこうした事業拡張の一環である。
エンブレエーサーは、ダークホースの強みについて300以上の保有タイトルや作品を創出する力、ブランド力をあげる。こうした作品はNetflixやアマゾン、サイファイ、ソニー、MGM、ユニバーサル、ワーナー・メディアといった企業から強いニーズがあるという。またエンブレエーサーと結びつき、シナジー効果を発揮する強力ゲームを生み出すことが可能だとする。すでに米国の2大コミック出版社のマーベルがウォルト・ディズニー、DCがワーナー・メディアの傘下にあるが、エンタメコングロマリット傘下入りでダークホースがこれに続くことになる。
エンブレエーサー・グループ(Embracer Group)
https://embracer.com/
Dark Horse Comics
https://www.darkhorse.com/