10月30日、第34回東京国際映画祭が開幕した。これに合わせ丸の内の東京国際フォーラムではオープニングセレモニー、レッドカーペットが行われた。アニメ映画からも期間中にプレミア上映される『フラ・フラダンス』から水島精二総監督とキャストを務めた美山加恋、富田望生、『グッバイ、ドン・グリーズ!』からは いしづかあつこ監督と声優の梶裕貴が姿を見せた。
ただし新型コロナ禍ということもあり、レッドカーペットへの登場は国内外42名とかなり人数が絞られた。また沿道にファンが集まるかたちも行われず静かなスタートを切った。
『フラ・フラダンス』は、プロとして”フラ”にまい進する新人ダンサーたちの絆と成長を描いた作品。東日本大震災で深刻な被害を受けた福島県いわき市を舞台にしている。水島精二総監督は挨拶で作品について「重くというよりは、寄り添うかたちで元気になっていただけるように思って。主人公達との頑張りを重ね合わせるようなフィルムを心がけました」とその想いを語った。
また『グッバイ、ドン・グリース』で監督、そして脚本も自身で務めたいしずかあつこ監督が、「未来を大切にしたくなる映画。私自身もそうした気持ちで創り出した映画です」と紹介。本作は高校生の少年少女の冒険を描く。
期間中はこのほか「ジャパニーズ・アニメーション部門」を中心に、『犬王』、『漁港の肉子ちゃん』、『じゃりン子チエ』、『わんぱく王子の大蛇退治』などアニメ・特撮関連で10本以上が上映される。2021年は会場が六本木地区から日比谷・有楽町・銀座地区に移ったことから、アニメーション映画は例年より少なめになった。それでも映画祭全体では126本の作品が上映される。
コロナ禍にも関わらず、来日した海外からのゲストもいる。今年の審査委員長であるフランスの大女優イザベル・ユペールもその一人だ。「このようなコロナ禍において映画作りをするのはチャレンジです。そしてこうした映画祭を開催されたということは勝利だと思います。ここに他の審査員と共に立ててとても光栄に思います。私たちは一緒に映画を観たい。それが、コロナ禍において私が一番やりたかったことです」と挨拶をした。
また岸田文雄総理からは、ビデオメッセージが届けられた。「東京国際映画祭は、我が国の文化や優れたコンテンツの魅力を世界中の人々に知っていただく、大変重要な機会です。今回の映画祭によって、我が国の映画やアニメの持つ魅力が、一人でも多くの人々に届くことを期待しております」と、日本からの映画文化発信に対する期待が語られた。
映画祭のオープニングは『クライ・マッチョ』。クリント・イーストウッドの製作・監督の最新作で、自らが主演を務めている。映画祭は11月8日までの10日間を予定している。2021年はアジア映画の充実が特徴になっており、世界初上映も多い。映画ファンにとって貴重な機会になりそうだ。
第34回東京国際映画祭
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