バンダイナムコHD通期売上利益が過去最高 映像・音楽売上高562億円

ファイナンス決算

 エンタテイメント大手のバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)が、2017年5月10日に発表した2017年3月期通期決算が、売上高、利益で過去最高に達した。近年の同社の好調ぶりをあらためて見せつけた。
 連結売上高は前年比7.7%増の6200億6100万円で初めて6000億円の大台を超えた。さらに営業利益は632億3800万円(27.4%増)、経常利益は632億9000万円(24.7%増)、こちらも600億円超えは史上初だ。当期純利益は441億5900万円を確保した。
 トイホビー部門は弱かったが、スマートフォン向けゲームアプリが牽引したネットワークエンターテインメント部門が大きく伸びた。アニメのヒット作が多かった映像音楽プロデュース部門も好調だった。

■ 家庭用ゲーム減少も、スマホ向けコンテンツが好調
 ネットワークエンターテインメント事業の売上高は3802億7300万円(18.5%増)、営業利益442億9800万円(85.1%増)。
 このうちネットワークコンテンツは52%増で1586億円、全体の4割を超えた。国内外で『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、『ワンピース トレジャークルーズ』が人気を集めたほか、国内で『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』が支えた。
 一方、家庭用ゲームは、欧米で『DARK SOULS Ⅲ』や『ドラゴンボールゼノバース2』が好調だった。しかし、売上高は9.6%減の866億円と伸び悩んでいる。業務用ゲーム機は622億円(7.4%増)、アミューズメント施設は609億円(3.9%増)と収益の改善が進んでいる。

■ 「ラブライブ!」シリーズ、「ガルパン」が大きな貢献
 映像音楽プロデュース事業も好調だ。同部門はバンダイビジュアルを中心に、ランティス、サンライズ、バンダイナムコピクチャーズなど映像・音楽関連グループ会社で構成される。ビジネスの大半はアニメ、アニメ音楽に関連したものである。売上高は8.3%増の562億2900万円、営業利益は134億3600万円。
 「ラブライブ!」シリーズが依然高い人気となっているほか、『ガールズ&パンツァー』の劇場映画が貢献した。また『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の映像ソフトも好調だった。
 映像と音楽のパッケージソフトは期初見込みの173億円を上回る191億円と前年を7.3%上回った。またアニメーション制作やライセンス、配信、イベントなどの売上高も期初予想の257億円を大きく超える371億円になる。前年比8.1%増である。好調とされた前年を上回る実績をだしている。2018年3月期はパッケージ販売が173億円、制作・ライセンス・配信・イベントでは327億円を計画する。

■ アジア地域で利益が伸長
 トイホビー事業の売上高は1932億2900万円(6.4%減)、営業利益は109億9100万円(33.3%減)である。『妖怪ウォツチ』の売上が前年の1/3と落ち込みが大きかったが、仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズが伸びた。また、ガンダムシリーズ、ドラゴンボール、アンパンマン、プリキュアシリーズも堅調だった。

 海外売上高はグループ全体で1871億円に達する。総売上高の3割を超える大きさだ。売上高ではアメリカが495億3900万円(13.7%増)と復調が窺える。一方、アジアは利益が伸びている。売上高は407億2400万円(3%増)だが、営業利益は78億700万円と49.1%もの成長となった。
 バンダイナムコHDは、中期計画の重点戦略として引き続きグローバル展開を進めるという。さらに「IP軸戦略の進化」、「ビジネスモデル革新への挑戦」を掲げる。2018年3月期の連結売上高は6000億円、営業利益570億円、経常利益580億円、当期純利益400億円を予想する。

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