手塚治虫の漫画原稿からNFTアート、手塚プロダクションがオークション販売


 日本マンガの巨匠・手塚治虫の描いた数々のマンガの原稿が、いま注目を浴びているNFT(Non Fungible Token:の非代替性トークン)アートとなる。手塚治虫の作品やキャラクターを管理する手塚プロダクションが準備を進めている。
 プロジェクトは「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」と名付けられ、公式もオープンした。最初の作品は『鉄腕アトム』を題材としたデジタルモザイクアートになり、2021年秋にオークションのかたちで販売する予定だ。それ以降も、手塚治虫の様々な作品を題材にNFT作品を順次リリースするという。

 NFTはブロックチェーン技術を使うことで、デジタル上に存在するデータが本物であることを証明する。デジタルデータは通常、品質を落とすことなく容易にコピーすること出来るためオリジナルとコピーの違いを立証することが難しい。
 しかしNFTを使うことで、他のデータから区別された真正証明が可能になる。またデータを売買、譲渡することで所有権の移転も出来る。とりわけデジタルアートの分野では、流通を活性化する新たな技術として注目され、コレクション需要も高まっている。

 手塚プロダクションによれば、今回の作品は手塚治虫が描いてきたマンガ原稿が素材になる。長年描いた原稿のデータを40000点以上の小さい正方形に裁断、それを配置することでお馴染みのキャラクターを描き出す。また背景には840枚のカラー原稿を使用する。特に貴重とされている8点の表紙・扉絵が含まれているのが売りとなっている。手塚プロダクション公認というのも、差別化になりそうだ。
 現在、マンガやアニメの分野でも、NFTの活用が様々なかたちで摸索されている。しかし、その成果はこれからになる。「From the Fragments of Tezuka Osamu」は、今後のNFTの活用方法として参考に参考にされそうだ。

「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」
https://tezuka-art.nftplus.io/ja

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 太素(TAISU)
     『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎監督、『九十九』で米国アカデミー賞短編アニメーションにもノミネー…
  2. かがみの弧城
     本屋大賞に輝く辻村深月の『かがみの孤城』は、ベストセラーとして世代を超えて支持を集めてきた。学校で…
  3. クランチロール
    末平アサ氏(チーフコンテンツオフィサー)インタビュー  2021年8月にソニーグループが、米国に拠…
ページ上部へ戻る