国内で映像配信プラットフォーム「Hulu」を運営するHJホールディングスの事業が引き続き拡大している。同社の親会社となる日テレホールディングスは、11月10日に2017年3月期第2四半期の決算を発表した。この中でHJホールディングスの業績も公開している。
HJホールディングスの上期の売上げは78億1700万円と前年同期比で33%と高い伸びになった。前期の62.6%増には及ばなかったが、引き続き成長を維持していることがわかる。
売上げの拡大に合わせて、営業損失の赤字幅も次第に縮小してきた。第2四半期までで、営業損失6億2400万円、経常損失4億2300万円、当期純損失で4億2400万円。営業損失は前年同期のおよそ半分である。
売上高の伸びを支えているのは、月額933円(税抜)の有料会員数の増加である。2016年9月末で145万2000人に達した。3月末の130万人から半年間で15万人余りを増やしたことになる。
Huluと同様の月額会員制を導入する映像配信プラットフォームでは、ドワンゴのniconicoが256万人、ドコモとエイベックスによるdTVが462万人と、Huluを上回る。しかし、niconico とdTVがいずれも月額500円(税抜)とより低い料金を設定している。このため有料会員収入では、Huluがniconicoを超えると見られる。さらにniconicoの有料会員数は半年前も256万人と変わらず、dTVは457万人の5万増にとどまっている。Huluの好調が際立つ。
それでもHJホールディングスが掲げる期末166万人の目標に届くかは微妙だ。映像配信プラットフォームにおけるユーザー獲得競争の厳しさが伝わってくる。
そうしたなかユーザー獲得のひとつとして、Huluはアニメラインナップの充実にも力をいれている。2016年秋期には、31作品もの新作テレビアニメの見逃し配信をスタートした。このなかにはHuluとJ:COMオンデマンドが2社独占配信する『3月のライオン』も含まれる。
さらに11月8日には米国アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート作品『ダム・キーパー』をスピンオフしたトンコハウスとのオリジナルアニメの制作を発表した。動画配信において存在感の大きなアニメを重視している。
HJホールディングスは2016年秋には本社を六本木から日テレホールディングスの各社の集まる汐留に移転している。積極な先行投資は、日テレホールディングスのグループであることで実現している面も大きい。一方で放送局のグループ会社でありながら独自の番組編成をする。独自のスタイルをとるHJホールディングスの事業は、今後も大きな関心を集めそうだ。