全国出版協会・出版科学研究所が明らかにした2021年上半期の出版市場規模推計によると、国内出版市場が拡大している。2021年1月から6月までの紙出版と電子出版の累計販売金額は8632億円、前年比8.6%増となった。
出版流通のデジタル化進展で電子が24.1%増と高い伸びを見せ、全体に占める割合も25.3%と1/4を超えてきた。一方で、紙も4.2%増と堅調だった。
堅調な販売は、コミックス(マンガ)の好調に牽引されている。紙出版全体の推定販売金額は前年同期比 4.2%増の 6445 億円だった。うち書籍が4.8%増の3686億円、コミックスを含む雑誌が3.5%増の 2759 億円。
雑誌は週刊誌が7.2%減となったがコミックスは約16%増となった。昨年大ヒットになった『鬼滅の刃』に続き、『呪術廻戦』、『東京卍リベンジャーズ』が好調だったとしている。
書籍は文芸書、児童書、ビジネス書、新書などが前年比増。ただし雑誌は多くで1 誌あたりの部数が減少し、厳しい状況としている。
電子出版は2187 億円で24.1%増と伸びが大きい。このうち電子コミックが25.9%増と伸びが大きく、金額でも1903 億円と87%と大きな割合を占める。電子書籍は20.9%増 231 億円だったが、電子雑誌は11. 7%減の53 億円と減少している。読み放題サービスの会員数の減少が影響しているという。
好調な業績から大手出版は経営余力が増しているとみられる。今後は好調を続ける電子出版の成長をどう維持するか、そして一般書籍の電子購入拡大にとうつながるかが課題になりそうだ。