国内のデジタル書籍市場が高い成長を遂げている。2019年7月23日にインプレス総合研究所が発表した「電子書籍ビジネス調査報告書2019」によれば、電子書籍と電子雑誌の売上げを合算した市場規模は3122億円となり初めて3000億円の大台を超えた。伸び率も前年比22%と高い。
全体のうち2826億円(26%増)が電子書籍で、296億円が電子雑誌。電子書籍の成長の一方で、電子雑誌は前年比で6%減と伸び悩んでいることがわかる。
電子書籍市場の高い成長は、2018年4月に大規模海賊版サイトが閉鎖されたこと、それに伴い各電子書籍サイトがマーケティングを強化した効果があったとインプレス総合研究所は説明する。そのうえで電子書籍市場は今後も成長するとし、5年後の2023年度には電子書籍市場は4330億円に達すると見込む。
電子書籍のなかでも存在感が大きいのは、電子マンガ(調査報告ではコミックと表記)である。電子マンガは電子書籍市場全体の84%を占める2387億円。また前年度比で29%成長した。書籍市場全体より高い伸びは、海賊版サイトでマンガがより多く利用されていたことにも理由にありそうだ。
近年では紙でのマンガ雑誌、コミック単行本の売上げは下落傾向が続いている。しかしデジタルでのマンガ売上げの高い伸びで、マンガ市場全体は依然堅調とみてよさそうだ。
インプレス総合研究所は、さらに興味深い市場調査も行っている。近年利用が増えているマンガ閲覧のスマートフォンアプリの広告市場を算出していることだ。マンガアプリは無料で作品を閲覧できることが多く、これまで読書体験は増えているのにマンガ産業市場規模に反映されていないとされてきた。
それをアプリに対する広告のかたちで可視化した。2018年度はこれが167億円になり、前年比67%と高い伸びを示している。マンガ市場全体ではそのシェアは小さいが、伸び率の大きさから今後はますます注目を集めそうだ。