1988年の日本公開から30年、宮崎駿の人気長編アニメ『となりのトトロ』が、2018年に初めて中国公開された。30年前の作品の劇場公開となればイベントやリバイバルの小規模上映と思いきや、大型新作映画並みの全国6000スクリーンを使用するビッグスケールとなった。
12月14日の公開から2週間となった12月23日には、興行収入は1億3788万元に達し、約22億円を突破した。これは1988年の日本での『となりのトトロ/火垂るの墓』の興行収入約12億円を大きく上回る。中国では海外映画は2週間目までで興行収入のほとんどを稼ぎだすため、『となりのトトロ』の最終的な数字は1億5000万元前後、24億円程度で着地しそうだ。新作ヒット映画並みの興行収入は、中国本土での宮崎駿、スタジオジブリの人気をあらためて感じさせる。
2018年に中国では、『となりのトトロ』を含めて15本の日本映画が公開されている。トップは『ドラえもん のび太の宝島』の2億928万元、『となりのトトロ』は1億2735万元の『名探偵コナン ゼロの執行人』を上回り第2位にランキングする。また実写のヒット作と話題を呼んだ『万引き家族』の1.5倍だ。歴代日本映画でも、『君の名は。』、『STAND BY ME ドラえもん』、『ドラえもん のび太の宝島』に続き第4位。
また2018年に中国公開された全アニメーション映画でも、第9位につける。ここでも存在感の大きさをみせつける。
30年ぶりの初公開の『となりのトトロ』の人気ぶりからも分かるように、スタジオジブリと宮崎駿は中国でも人気が高い。しかし意外なことだが、これまでスタジオジブリの映画が中国で正式公開されたことはない。日本の映画自体が長年ほとんど正式輸入されなかったためである。その知名度はキャラクターや数多くの作品の劇伴を務めた久石譲のコンサートなどで伝えられている。
一方で今回の上映に加えて2018年は7月からは、中国本土初のスタジオジブリ展覧会「World of GHIBLI in China」が上海環球金融中心で開催されている。数年後に完成が期待される宮崎駿新作を前にいよいよ本格進出である。
2019年のロサンゼルスでの宮崎駿回顧展開催、2022年の愛知県「シブリパーク」のオープンと、スタジオジブリは大きな動きが続いている。今後のさらなる展開も気になるところだ。