ガイナックスが破産手続き開始 経営混乱に幕引き

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 1984年に設立され『新世紀エヴァンゲリオン』の制作などでアニメ史を刻んできたガイナックスが、歴史の幕を閉じることになった。2024年6月7日、同社は5月29日付で東京地方裁判所に申立てた会社破産が受理されたことを明らかにした。
 老舗のアニメ会社の事業終了はアニメ関係者やファンのとっては衝撃ではあるが、アニメ業界におけるビジネス面での影響は少なさそうだ。ガイナックスはすでに2015年のアニメシリーズ『放課後のプレアデス』以降は新たな制作はほんどなく、近年は制作活動を停止していた。また関連する作品の権利もほぼ他社譲渡・移管されたとみられる。『新世紀エヴァンゲリオン』の権利がカラーに、『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』 がトリガーにといった譲渡が、明らかになっている。

 2020年に現経営陣がガイナックスの経営を引き継いだのは、2010年代に急激に悪化した業績とスタジオ体制、それに伴う問題を混乱のないかたちで収めることが目的であったとみられる。ガイナックスのお知らせによれば、20年以降の新体制のもと作品運用が出来るための各製作委員会などとの調整、作品権利所在の確認、作家やクリエイターの権利保護、知的財産や作品資料の管理・運用に努めてきた。業界における混乱を最小限に押さえた点では、役割を果たしたことになる。
 それでも今回の破産申し立ては、忸怩たる思いがあるようだ。破産の直接のきっかけは、多額の負債解消が出来ない中、5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受けたことにある。同社の経営健全化の中心になってきたカラーは、自社の公式サイトにて「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」と述べている。

 ガイナックスが管理してきた作品の今後の運用は、破産手続きによる確定後にあらためて告知される。また「ガイナックス(GAINAX)」の商標と称号はすでにカラーが取得しており、今後も同社が管理を続ける。
 現在、「ガイナ」「ガイナックス」「GAINAX」を冠した複数アニメ会社、アニメスタジオがあるが、いずれもガイナックスとは資本関係、業務関係はない。

 ガイナックスは、1984年にアニメーション映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の制作を目的として設立された。大阪を中心としたアニメファングループによるダイコンフィルムを前身としており、アニメ制作会社の多くが大手スタジオの出身スタッフ・プロデューサーが設立していた70年代、80年代に異色な存在であった。『オネアミスの翼』の商業的な成功は、アニメファンパワーの成長をみせつける事件でもあった。
 その後も『ふしぎの海のナディア』 、『彼氏彼女の事情』 、『天元突破グレンラガン』 などヒット作を次々に生み出す。なかでも1995年にテレビシリーズからスタートした『新世紀エヴァンゲリオン』 は空前の大ヒットになった。

 一方で、『新世紀エヴァンゲリオン』の監督を務めた庵野秀明らが2007年にカラー設立後に退社、2011年に『天元突破グレンラガン』の主要スタッフがトリガーを設立して独立するなど、2000年代以降は人材流出が顕著になる。
 さらに2012年頃からの事業多角化や投資の躓きで経営が急激に悪化し、資金面でのトラブルが頻発するようになる。2019年には外部から就任した代表取締役が刑事事件を起こすなど、さらに混乱が増した。
 こうした状況を懸念したガイナックス出身の関係者が2020年に旧経営陣を退任させ全面的に経営刷新に乗り出した。これが現在につながっている。グラウンドワークス代表取締役の神村靖宏氏が代表取締役になり、カラーを中心にKADOKAWA、キングレコード、トリガーなどが協力している。

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