アヌシー映画祭、オフィシャルコンペ出揃う「鹿の王」「ジョゼ」「日本沈没」も

アヌシー国際アニメーション映画祭

 フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭は、世界最大規模のアニメーション映画祭として業界から最も注目される。2021年5月20日に、その長編部門のコンペティション作品が発表された。長編部門コンペティション10作品、長編部門(Contrechamp)コンペティション9作品である。
 このうち日本から長編部門コンペティションに、『ジョゼと虎と魚たち』『鹿の王 ユナと約束の旅』『えんとつ町のプペル』の3作品が選ばれた。長編部門に強い日本の存在感を発揮した。
 2020年は新型コロナ感染症の影響でオンライン開催となったアヌシーだが、2021年は現地で観客もいれたリアル開催とオンラインのハイブリット開催となる。これらの作品も現地会場で上映されることになる。なかでも、『ジョゼと虎と魚たち』は映画祭の開幕を飾るオープニング上映となり、観客や関係者に強い印象を残しそうだ。国内では9月10日公開予定の『鹿の王 ユナと約束の旅』は、先行してフランスの観客に届けられる。その反応も気になるところである。
 映画祭は6月14日にスタート、19日までの6日間続く。グランプリにあたるクリスタル賞など各アワードは最終日に発表される。

 長編部門に先立って発表されている短編など他部門でも、日本からのノミネートがある。近年拡充されているテレビ部門には湯浅政明監督の『日本沈没2020』と宮澤真理監督のストップモーションアニメーション『こにぎりくん えんそうかい』が選ばれた。湯浅政明監督は『Kick-Heart』、『アドベンチャー・タイム』「Food Chain」、『夜明け告げるルーのうた』、『きみと、波にのれたら』に続く、5度目のノミネートになる。
 受託部門(Commissioned Films)でもアヌシー常連の名前がある。水江未来監督の『悲しみの子供たち』だ。女性アイドルユニットMaison book girlのアルバム『海と宇宙の子供たち』の収録曲「悲しみの子供たち」をMVにした作品だ。さらにもうひとつ、クロアチア作品とされてる「ザグレブ国際アニメーション映画祭トレーラー」は、日本の水尻自子監督によるものだ。水尻氏も国際映画祭の常連である。
 またVR部門の『Replacements (諸行無常)』は、日本、インドネシア、ドイツの合作。監督のなかにあるジャカルタの記憶を360度の世界で描く。

 映画祭の中心のひとつである短編作品は、引き続き日本からの作品は少なかった。短編部門は日本/ポーランド合作のZbigniew CZAPLA監督の『On Time』のみ。学生部門は古川原百花監督の『かたのあと』である。古川原さんは東京造形大学デザイン学部アニメーション専攻出身。鉛筆を使ったドローイングで思春期の少女の身体へ関心やコンプレックスなどを描いた。
 短編部門のコンペ作品は、今年は台湾、韓国、中国、シンガポールなどアジア各国からの作品が増えている。日本作品はなかなか取り上げられる機会が少ないだけに、『かたのあと』の活躍に期待したい。

アヌシー国際アニメーション映画祭 
https://www.annecy.org/home

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