日本のアニメやマンガのカルチャーを世界に届ける企業である株式会社Tokyo Otaku Mode(トーキョー・オタク・モード)が、出版大手の小学館のグループ会社になった。2023年11月21日、小学館はTokyo Otaku Modeの発行済の全株式を取得、同社を完全子会社化したと発表した。
これに合せて小学館代表取締役社長の相賀信宏氏が、Tokyo Otaku Modeの取締役会長に就任する。このほか取締役1名、監査役1名が小学館より派遣される。同社の創業メンバーである代表取締役社長の小高奈皇光氏、取締役副社長の安宅基氏は現職にとどまり、引き続き経営に携わる。
小学館、Tokyo Otaku Modeとも非上場企業のため株式取得価額やTokyo Otaku Modeの業績については開示されていない。また株式取得先についても言及はない。
Tokyo Otaku Modeは2011年3月に立ち上げた日本のアニメ・マンガの情報を英語発信するFacebookページが事業のスタートになっている。海外から数多くのファンを集めて、一躍脚光を浴びた。2012年4月に法人化した。
その後、官民ファンドを運営するクールジャパン機構の投資案件第1号になったほか、企業やベンチャーキャピタルから資金を集めて飛躍を期待された。しかし、その後は様々なジャンルに進出したが事業の方向性を定めるのに苦労し、伸び悩んでいた。
近年は海外向けのアニメ・マンガなどのポップカルチャーの商品を扱ったEC事業を主軸においてきた。越境ECと世界的な日本アニメ・マンガブームに乗ったかたちだ。
小学館はそうしたTokyo Otaku Modeの海外発信力やネットワーク、海外向け通販事業のノウハウを高く評価したとしている。日本のマンガは現在、海外で急成長を遂げているが、既存の出版社は海外関連ビジネスを持たないため、海外企業を買収するケースもある。それが今回小学館にとっては、Tokyo Otaku Modeということになる。
今後、両社が協力することで、全世界のファンに日本のコンテンツやサービスを届けるようにするとしている。