「時をかける少女」、アニメの中の展覧会がデジタル空間で実現

「アノニマス ―逸名の名画―」

 歴史に残る傑作でありながら、作者の名前は知られていない作品ばかりを集めた展覧会。かなり魅力的な企画だが、この展覧会はかつて実現したことがある。それは細田守監督の映画『時をかける少女』の作中である。
 映画の中でストーリーの鍵となる無名の作家の描いた一枚の絵が、「アノニマス ―逸名の名画―」とタイトルされた展覧会で登場する。会場は上野の東京国立博物館、並べて飾られる絵は実在するものばかりと、現実とリンクすることでファンタジックな物語に説得力を与えている。

 この映画の中に登場する展覧会が実際に企画され、オンライン上で実現することになった。東京国立博物館と文化財活用センター、凸版印刷、バーチャルトーハクは協力し、バーチャル空間の東京国立博物館にて特別展「アノニマス ―逸名の名画―」を再現する。12月19日よりオンライン公開する。
 東京国立博物館の一部がCGで再現され、その空間を自由の歩き回り作品を鑑賞することができる。設定はありながら作中では触れられなかった国宝「孔雀明王像」や「玄奘三蔵像」などが展示されている。
 しかし一番の目玉は、作中で重要な役割を果たした架空の絵画「白梅ニ椿菊図」だろう。本編中の真琴や千昭でなくとも、是非、一度見てみたいと思うに違いない。

 プロジェクトは、文化庁の文化芸術収益力強化事業の採択事業のひとつでもある。芸術の新しい可能性を探るものだ。バーチャル企画展としては珍しく、入場料を設けている。こちらが税込み290円。開催期間も2020年12月19日から21年2月28日とリアルな展覧会を思わせる。
 また公開前日の12月18日には、展覧会公開記念としてトークイベント「時をかける日本美術」を開催する。細田守監督と東京国立博物館の松嶋雅人研究員が映画と美術について語る。こちらもバーチャル特別展の会場内でのオンライン企画となっている。

バーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」
https://virtualtohaku.jp/anonymous2020_exhibition/
主催:東京国立博物館、文化財活用センター、凸版印刷株式会社
特別協力:スタジオ地図
会場:バーチャルトーハク 特別展示室 (cluster内)
2020年12月19日(土)~2月28日(日)
入場料:290円(税込) *購入方法によって価格は変動。

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