細田守「果てしなきスカーレット」最新作製作発表 東宝/ソニーが世界配給

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 2024年12月23日、東京・日比谷のTOHOシネマズで世界の映画ファンが心待ちにしていたアニメーション監督・細田守の新作長編映画の製作発表が行われた。
 細田守監督と齋藤優一郎プロデューサー(スタジオ地図)が登壇し、『果てしなきスカーレット』(英題「Scarlet」)のタイトルと「東宝/ソニー・ピクチャーズ 全世界配給」、さらに「2025年冬公開」の情報が披露された。

 前作『竜とそばかすの姫』の公開が2021年7月、2025年公開はそこから4年半が経つ。細田作品は2006年の『時をかける少女』から3年ペースで6本を公開してきたが、今回は「超大作であるため制作により時間をかける必要があった」と齋藤プロデューサー。さらにこれまで夏公開であったのに対して冬公開になったことについては、「夏は爽やかな映画が相応しい。秋や冬にはどっしりとテーマを語るのが合うのでないか」と細田守監督が話す。これまでとまた異なった細田監督の世界になりそうだ。
 公開まで1年ほどあることから、現在は公開できる情報は限られている。それでも「主人公はある国のプリンセス」「時空を超えた冒険」「バディとなるキャラクターがもう一人いる」「世界的なスケールと現代性」「誰でも知る有名な古典がベース」など、気になる言葉が語られた。これまでの作品の多くは日本の日常世界を舞台にそこから非日常につながる、本作はファンタジック世界の要素がより強いとみられてこれも新しい体験になる。

 監督・脚本・原作は、細田守が務める。原作からオリジナルを生み出すアニメーションの作家性が強く打ち出される。制作もスタジオ地図と万全の体制だが、映像制作では新たな挑戦が期待される。
 主人公・スカーレットとして公開されたビジュアルは、混沌とした厳しい世界から希望のある明るいところを見つめるキャラクター。イラストタッチのビジュアルだが、細田監督はここからセルタッチになるのではなく、この絵がこのまま動くという。セルスタイルでもCGでもない映像を実現する技術的な挑戦をしている。新たな表現技法が積極的に採用されるはずだ。

 ビジネスでも注目点が多い。ひとつは大きく打ち出された東宝とソニー・ピクチャーズの世界配給である。日本国内を東宝、そして日本以外の世界をソニー・ピクチャーズが担当する。さらに今回ソニー・ピクチャーズは、『果てしなきスカーレット』に共同出資・共同製作する。
 ハリウッドメジャーと呼ばれる米国の大手映画会社が、日本のアニメ映画に共同出資し、かつ世界配給をする例はこれまでにないはずだ。これはソニー・ピクチャーズが『果てしなきスカーレット』を日本ローカルの映画ではなく、最初から世界に向けたグローバルタイトルと位置づけていることになる。出資もするとなると、配給にもより力がはいる。
 近年の細田守作品は公開のかなり前から海外配給が決まっており、戦略的にグローバル展開を図ってきた。『未来のミライ』のアカデミー賞ノミネート、『竜とそばかずの姫』のカンヌ国際映画祭のオフィシャル上映ワールドプレミアなどもそうした流れにある。『果てしなきスカーレット』では、それをさらに進めてソニー・ピクチャーズと組みスタートから世界を目指す。2025年公開まで、今後もさらにいくつものサプライズが起きそうだ。

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