映像関連事業の大手IMAGICA GROUPが、連結子会社で海外におけるコンテンツのローカライズ事業を手がけるSDI Media Groupへの関与を強める。IMAGICA GROUPは今年9月に、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が保有するSDIの全株式を譲受した。
SDIは米国カリフォルニアに本社を持つ映画・テレビ番組などコンテンツのローライズの世界的大手。IMAGICA GROUPは、2015年にクールジャパン機構、住友商事と協力して同社の全株式を取得、買収をしている。
出資時点でのIMAGICA Groupの株式持株比率は50.1%であった。しかし2020年3月末の時点では持株比率は50.39%に上昇している。この時点で当初0.3%の株式保有していた住友商事の持ち分も、すでにIMAGICA Groupが取得していたと見られる。
今回の取引でクールジャパン機構は、全保有株をIMAGICA Groupに売却する。IMAGICA Group は、SDIをほぼ完全子会社にしたと考えてよさそうだ。
2015年の買収金額は総額で約190億円(当時)、映像分野での大型買収として話題を呼んだ。しかし今回の株式取得の金額は公表されていない。
SDIは買収後に大規模な特別損失を計上、業績赤字が続くなど厳しい業績が続いている。今回の譲渡価額は当初の投資金額を大きく下回っているとみられる。
一方でSDIのメディア・ローライゼーション事業は、年間売上高200億円を超えるIMAGICA Groupの主力事業となっている。映像を中心に全世界の37ヶ国、80カ国語以上でのコンテンツロイゼーションのグーロバル展開は他企業にはない資産だ。
2019年にはIMAGICA Lab.とSDIメディアが共同でIMAGICA SDI Studioを設立している。今期(2021年3月期)からは、メディア・ローライゼーション事業は映像制作サービス事業と統合されるなど事業の一体化が進んでいる。資本面でのIMAGICA GROUPの立場がより明確になったことで、今後の共にSDIの事業成長を目指すことになる。