文化庁映画賞功労部門に内田健二氏、森卓也氏、森田清次氏が決定

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日本の映画文化の向上と発展に尽くした人物を顕彰する文化庁映画賞映画功労部門が9月23日に発表された。この中には、アニメーション分野で活躍した3人も選ばれている。
長年、アニメのプロデューサー、企業経営者、そして業界団体の代表として活動してきた内田健二氏、映画評論の森卓也氏、アニメーション編集の森田清次氏である。3人は他の受賞者6人と伴に、10月25日に東京・六本木ヒルズのグランドハイアット東京にて行われる贈呈式にて授賞する。これは25日から30日まで開催される文化庁映画週間のイベントのひとつともなっている。

文化庁映画賞は、2003年に文化庁映画週間と併せてスタートした。優れた文化記録映画の顕彰(文化記録映画部門)と上映、そして映画功労部門から構成される。文化記録映画部門は通常は日の当たることが少ない記録映画にスポットを当てたものだ。今年度は、1970年代から80年代にかけて活躍し、日本の国際的なファッションモデルの先駆者となった山口小夜子を描いた『氷の花火 山口小夜子』が受賞した。
映画功労部門も映画監督や役者だけでなく、美術、撮影、編集、音響、録音、照明、さらに宣伝や翻訳、評論まで幅広い分野をカバーするのが特徴になっている。アニメーション分野からは2010年より選ばれるようになっている。しかし、3人もが同時に受賞するのは今回が初めてだ。

内田健二氏は、1978年に日本サンライズ(現サンライズ)に入社。『機動戦士Ζガンダム』をはじめ数々のアニメのプロデューサーを務めた。映画では『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(富野由悠季監督)、『カラフル』(原恵一監督)などの代表作がある。サンライズ代表取締役社長、会長を歴任しアニメ製作会社の経営者としてアニメーションの振興に貢献、また日本動画協会理事長やアニメジャパン理事長として業界の発展にも尽力している。
森卓也氏は、長年映画評論家として活動してきた。なかでも早くからアニメーションに注目し、『アニメーション入門』、『アニメーションのギャグ世界』などで先駆的な仕事を残す。
そして森田清次氏は、アニメーションの編集の仕事のパイオニアとして知られる。竜の子プロダクションの勤務を経て独立、1986年には森田編集室を設立した。きめ細かな技術に定評がある。代表作には『昆虫物語 新みなしごハッチ』、『天使のたまご』、『機動警察パトレイバー』、『機動戦士ガンダムSEED』などがある。

文化庁映画週間 http://bunka-cho-filmweek.jp/

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