エイベックス第1Q アニメ事業は大幅減収、映像ソフト販売とイベント公演減少が響く

ファイナンス決算

 音楽・ライブの大手企業エイベックスの業績が、新型コロナ感染症拡大のなかで大きな影響を受けている。2020年8月6日に発表された2021年3月期第1四半期(4月~6月)決算は大幅減収、そして赤字に沈んだ。
 連結売上高は141億800万円で前年比で51.4%の減少。利益は赤字になり営業損失10億5400万円、経常損失13億900万円、当期純損失17億400万円である。ここには災害損失5億6400万円も計上されている。
 損失の拡大は、エイベックスが得意とする音楽ライブ・イベントが新型コロナウイルス感染症拡大防止のため開催自粛を余儀なくされたためである。

 アニメ・映像事業も厳しかった。売上げは18億6400万円で、前年比44.7%減と大幅な減少となった。また前年同期は1億6500万円であった営業利益は1000万円の損失に転じた。
 売上げの減少は映像ソフト作品の販売数、さらにイベント公演数が減少したことにある。新型コロナ感染症の拡大と、それに伴う自粛が大きく影響した。アニメパッケージ(映像ソフト)の売上高は7億3600万円と前年同期比30.9%減、さらにノンアニメパッケージの売上高は11億2800万円(51.1%減)と、共に大きく後退した。
 第2四半期以降は新型コロナ対応が進んだこともあり、下期に向かってパッケージ販売数やイベントは回復に向かうとみられる。しかし通期では前年の勢いには及ばなそうだ。

 それでも中長期的には、アニメは中核事業のひとつになる。IP(知的財産)創出を目的とした事業開発を進める。特にエイベックスの得意とするアーティスト・タレントの発掘・育成、それにゲームとも連動したアニメ作品の企画・開発を目指している。
 さらに自社IPを用いたイベントの海外開催、新しいテクノロジーを活かしたビジネス、国内外のパートナーとの連携で事業開発などを続ける。そうした成果は来期以降の事業再成長の際に、重要になってくるはずだ。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る