2019年12月12日、大手映画会社の東宝が、2020年以降の公開の配給作品ラインナップを発表した。現時点で2020年1月から12月までは27作品、さらに2021年公開も2作品を挙げた。昨年同時期の発表では2019年22作品と2020年5作品だったから、合計で前年を上回った。
配給は、映画館を運営する興行各社に映画作品をセールスする業務にあたる。配給によるどれだけよい条件で劇場・スクリーン数を確保できるかは、映画のヒットをも左右する。東宝はこの配給事業で日本最大で、自社製作・出資作品以外でも配給も手がけている。
発表されたラインナップのうち2020年に公開するアニメ映画は全部で9作品。すでに発表になっていた『ドラえもん』『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』などの定番に加えて、新たに『思い、思われ、ふり、ふられ』(5月29日公開)、『STAND BY ME ドラえもん 2』(7月17日公開)、『映画 えんとつ町のプペル』(12月公開)、『鹿の王』(2012年)などは今回新たに公開日が明らかにされた。
なかでも事前情報が全くなかった『STAND BY ME ドラえもん 2』はサプライズになる。前作が興行収入83億円を超えるから、本作にも期待がかかる。特に7月第3週の週末は、毎年スタジオジブリや細田守監督の新作、今年は新海誠監督の『天気の子』が公開となった勝負作が置かれる時期である。『STAND BY ME ドラえもん 2』が一回り大きな大作であることがわかる。
2020年の特徴は、共同配給の多さだ。6月公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は東映、カラーとの3社共同配給と異例の体制、このほか『思い、思われ、ふり、ふられ』がアスミック=エース共同配給、『映画 えんとつ町のプペル』は吉本興業との共同配給となっている。他社が配給が足りない際に、大手の東宝に協力を求める構図が見える。
上橋菜穂子のベストセラーファンタジー小説をアニメ化する『鹿の王』は、自社グループの東和ピクチャーズと共同配給する。東和ピクチュアーズは、米国のパラマウント・ピクチャーズの映画の日本配給をする会社だが洋画配給が中心の会社だけに異例だ。
一方で東宝も従来は邦画中心だったが、2020年も『名探偵ピカチュウ』や『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に続き『モンスターハンター』『GODZILLA VS. KONG』を配給する。国内最大手から日本配給のシステムも変わりつつあるようだ。
現在発表されてるアニメは9作品だが、この数は今後も増える可能性が高い。通常12月の発表は翌年の9月頃まで公開をカバーしており、それ以降は現在は発表されない作品も少なくない。昨年はこの時点では、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』や『ニノ国』の配給は発表されていなかった。
またより興行規模が小さくなり、アニメの数も多い東宝映像事業部配給作品はここには含まれていない。現在は『映画しまじろう しまじろうと そらとぶふね』『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』が発表されているが、その数は今後も増えるとみらる。
2020年 東宝配給アニメ作品リスト
3月6日 『映画ドラえもん のび太の新恐竜』
4月24日 『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』
5月29日 『思い、思われ、ふり、ふられ』(アスミック=エース共同配給)
6月 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 (東映、カラー共同配給)
7月10日 『劇場版ポケットモンスター 2020』
7月17日 『STAND BY ME ドラえもん 2』
12月 『約束のネバーランド』
『映画 えんとつ町のプペル』(吉本共同配給)
2012年 『鹿の王』(東和ピクチャーズ共同配給)