業績好調が続いてきた東映アニメーションも、新型コロナ禍の影響が及んでいる。2020年7月30日に発表された、同社の2021年3月期第1四半期の連結業績は減収減益となった。映画の公開延期、テレビアニメの放送休止、商品販売店舗の営業自粛、イベントの中止などが影響した。 連結売上高は126億7600万円で9.0%減、営業利益は39億8600万円(11%減)、経常利益は41億6300万円(11.1%減)、当期純利益は31億9000万円(5.5%減)。
該当期間は4月から6月と新型コロナ禍の自粛要請が最も強かった時期にあたる。それでも影響を受けたとはいえ、減収減益幅は比較的小幅にとどまっている。東映アニメーションの企業体力の強さを感じさせる。
映像販売ではテレビアニメの休止により新作の納品がとまったほか、『映画プリキュアミラクルリープ』、『東映まんがまつり』、『魔女見習いをさがして』が公開延期になった。これらが減収要因となったにも関わらず、増収増益となった。売上高は51億3300万円(16.5%増)、営業利益は15億900万円(17.5%増)である。
増収要因は『美少女戦士セーラームーンEternal』など劇場アニメが期中公開予定作品の納品が増収になったほか、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』のDVD/ブルーレイが発売となったコンテンツも伸びた。
さらに海外映像販売が前年同期の24億2800万円から36億5500万円に急伸した。サウジアラビア向け劇場作品の納品と『ドラゴンボール超 ブロリー』の劇場上映権販売が北米で好調だった。中国向け大口映像配信権の売上計上が、第2四半期のずれた影響をもカバーした。
版権事業は売上高70億円(14.7%減)、営業利益33億9000万円(12.7%減)と減収減益だった。国内版権が前年の「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』のタイアップキャンペーンに相当するものがなかった。
海外版権の中心は、『スラムダンク』の中国向けアプリゲーム、アプリゲーム『ドラゴンボール レジェンズ』、家庭用ゲーム『ドラゴンボールZ KAKAROT』。ほぼ前年並みである。
通期連結予想は売上高500億円、営業利益は100億円、経常利益103億円、当期純利益70億円。売上で進捗率25%のほか、利益面では40%程度と順調だ。
休止期間中のテレビアニメ本数を取り返すことが出来ないが売上げ110億円を予想する海外映像などがカバーすることで、業績予想数値は十分視野に入っている。