新スタジオ「コントレール」設立、片渕監督も取締役で長編映画目指す

アニメーター

 2016年の『この世界の片隅に』から3年、2019年12月20日に新作映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を公開させた片渕須直監督が、早くも次回作に向かって動き出した。それに合わせた大胆な制作体制が構築されることが明らかになった。
 12月23日、片渕監督の次回作を制作する株式会社コントレールの設立が発表された。コントレールはアニメーションの企画・制作事業を目的に、2019年9月2日に立ち上がったばかりである。設立目的は、片渕監督の長編映画を制作するためのスタジオとするから異例だ。高畑勲・宮崎駿両監督作品に特化した初期のスタジオジブリ、あるいは細田守監督の作品に特化したスタジオ地図にコンセプトは近いかもしれない。

 設立母体が気になるが、代表取締役には『この世界の片隅に』と『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』をアニメーション制作したMAPPA代表取締役の大塚学氏が兼任する。片渕須直監督も取締役に就任している。スタジオもMAPPAの本社がある同じ杉並区としている。
 すでに『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』にも制作協力していることから、MAPPの片渕作品の制作チームがスピンオフしたと見ていいだろう。今後もふたつのスタジオが連携することになりそうだが、コントレールとして独立することで片渕作品に集中する環境を構築する。

 近年はアニメ業界では製作本数が増加すると共に、制作スタジオやスタッフが逼迫する状況が続いている。そこで今回と同様に、特定の監督や作品に特化したスタジオを設立する動きが表れている。制作リソースの囲い込みと考えられる。
 DLEはこの9月に『若おかみは小学生!』の高坂希太郎監督を中心とした新たにスタジオを開設したことを明らかにしている。
 人気作品の制作が多いWHITE FOXは、企画・プロデュースのEGG FIRMと共同出資してスタジオバインドを設立、2019年に本格始動している。スタジオバインドは人気ラノベ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のアニメ化プロジェクトに長期的に取り組むことが目的だ。
「宇宙戦艦ヤマト」のプロジェクトをマネジメントするボイジャーは、シリーズ新作制作のためにstudioMOTHERを設立した。バンダイナムコアーツもこれに出資する。

 コントレールの名称は、片渕監督が名付けた。コントレールは“ひこうき雲”を指す。新たに作られたスタジオのマークは、天色の空に長く永く筋を引く白雲をイメージしている。オープンしたばかりの公式サイトでは、「多くの人に、末永く愛されるアニメーション作品を作りたい」とスタジオの目的を表明する。希望に満ちたスタートになった。
 2020年1月中旬からは、作画スタッフ、制作スタッフなどの人材募集も開始する予定だ。2020年頭から本格的に動き出すとみていいだろう。

コントレール https://contrail.tokyo/

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