IGポート、新作「CYBORG009」の製作委員会を子会社化 石森プロと共同出資


アニメ製作事業の持株会社であるIGポートは7月20日に新作アニメ『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』の製作委員会を設立し、同委員会を連結子会社とした。これにより製作委員会の事業収支がIGポートの業績に反映することになる。
IGポートによれば、同社の子会社であるプロダクション I.Gの「CYBORG009」製作委員会への出資額がIGポートの資本金(7億8100万円)の100 分の10を超え、特定子会社に該当することになったためである。製作委員会への出資額は明らかではないが、プロダクション I.Gの出資比率は50.0%。また、同社は幹事会社として『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』の製作と収益を管理する。
IGポートでは、2012年に劇場公開された『009 RE:CYBORG』の際も、その製作委員会を連結子会社としている。その際の委員会への出資比率は57.0%、今回と同様に幹事会社を務めた。

『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』は、マンガ家・石ノ森章太郎の傑作マンガ『サイボーグ009』を原作にする新作アニメとなる。全3部構成での製作を予定しており、第1章は2016年11月25日から、第2章は12月2日から、第3部は12月9日から、それぞれ東宝映像事業部配給で劇場上映する。
1964年にマンガ誌「週刊少年キング」の連載で初めて世に送り出されたシリーズは、誕生以来、1966年のテレビシリーズはモノクロ版をスタートにたびたびアニメ化されてきた。2012年には劇場映画『009 RE:CYBORG』が、セルタッチのフル3DCGアニメーションで制作されている。
『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』では、『009 RE:CYBORG』で監督・脚本を務めた神山健二が総監督として再びシリーズに関わる。アニメーション制作は前回のプロダクション I.Gとサンジゲンから、IGポートが2014年10月に設立した子会社シグナル・エムディとCGアニメに定評があるOLM Digitalに代わる。監督は『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ Cadenza』の柿本広大、キャラクターデザインは『楽園追放 -Expelled from Paradise』の齋藤将嗣とCGアニメで定評のあるスタッフが並ぶ。『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』でも、セルタッチのCGアニメのさらなる進化が期待される。

「CYBORG009」製作委員会でもう一点注目されるのは、製作委員会の出資の残り50%を原作を管理する石森プロが全額出資していることである。原作者や出版社はアニメ化の際には原作権による収入が当初より期待される。このため製作委員会に出資することは必ずしも多くなく、その出資比率が半数を超えることは少ない。
また製作委員会の役割は、複数企業の共同出資によるリスク軽減、製作委員会メンバー各社が得意とする分野での事業分担によるメディアミックス拡大が大きな役割と言われている。しかし今回は、原作とアニメーション制作の2社だけによる事業で、映像ソフトメーカーや映画会社、音楽会社、グッズ会社、代理店などは委員会メンバーに加わらない。原作とアニメーション制作会社の2社がタッグを組んだ『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』は、ビジネスの挑戦と言えるだろう。

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