過去数年、成長を続けてきた東宝の業績が踊り場にさしかかったようだ。7月13日に発表された東宝の2019年2月期第1四半期決算は、減収減益だった。
連結売上高は662億1000万円(前年同期比6.7%減)、営業利益は127億5000万円(26.9%減)、経常利益は129億1300万円(26.5%減)、当期純利益は80億8700万円(33.5%減)である。
映画製作・配給の映画営業事業を中心に映画事業の落ち込みが厳しかった。演劇事業も売上高は伸びたが、製作費の増加をカバー出来ず大幅減益となった。一方、不動産事業はほぼ前年並みだった。
映画事業の売上高は436億1000万円(12.2%減)、営業利益は80億5100万円(34.1%減)である。配給は好調だったが、番組輸出、テレビ放送収入、ビデオ収入が減少している。配給を支えたのは好調な定番アニメである。『名探偵コナン ゼロの執行人』が興行収入84億2000万円とシリーズ最高記録を大幅更新したほか、『映画ドラえもん のび太の宝島』(53.2億円)、『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』(18億円)と好調であった。
しかし、実写邦画は不調で10億円超えは、『ちはやふる -結び-』(17億円)、『ラプラスの魔女』(13.5億円)と2本にとどまった。上位3本をアニメが占めたかたちだ。
さらに洋画配給の東宝東和は、10億円超えは1本のみ。こちらもアニメーションで『ボス・ベイビー』の34.3億円だった。
映画興行事業も減収減益である。自社配給作品に加えて、『リメンバー・ミー』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』などのヒット作もあったが、前年には及ばなかった。
ファミリーキッズ向けアニメの好調の一方で、深夜アニメなどを手がけるアニメ製作事業は勢いに欠けた。こちらも近年急成長を遂げたが、一段落したかたちだ。第1四半期のアニメ製作事業売上は24億9000万円(15.2%減)。主力タイトルは、映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』『名探偵コナンゼロの執行人』『僕のヒーローアカデミア』など。
また中小規模の劇場上映を担当するODS事業も売上高も2億4000万円にとどまった。前年同期比で67.6%減と落ち込みが大きかった。
さらにパッケージ事業では、『舞台「刀剣乱舞」ジョ伝三つら星刀語り』、映画『あさひなぐ』が好調だった。しかし前年にあった『シン・ゴジラ』の販売の反動が大きかった。減収減益である。
配給事業では第2四半期も、アニメへの期待が大きそうだ。7月13日には復調傾向にある『劇場版ポケットモンスター』の最新作「みんなの物語」、7月19日には細田守監督の大作『未来のミライ』が公開する。8月に入っても10代に人気が高い『僕のヒーローアカデミア』の初の劇場映画『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ~2人の英雄~』が公開する。
一方邦画は、木村拓哉と二宮和也の競演が話題の『検察側の罪人』、竹内涼真主演の『センセイ君主』が目玉だ。