2020年2月4日、愛知県はスタジオジブリ、中日新聞社と連携して進める「ジブリパーク」計画の概算事業費、想定来場者数、そして経済波及効果をまとめた。2022年の開業に向けてより構想が具体的に進んでいる。
発表によれば、22年に先行開業予定の3つのエリア「青春の丘エリア」、「ジブリに大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の事業予算は約182億円、内工事費118億円、設計監修費が16億円、施設内で活用される作品の著作権料は非公開とされている。
第2期事業の「もののけ里エリア」、「魔女の谷エリア」は来年度実設計をする予定のため推計とした。こちらは工事費144億円、設計監修費は14億円の合計158億円。総計で約340億円の事業費になる。
ジブリパーク構想は、2017年5月に愛知県がスタジオジブリと合意。翌18年3月にスタジオジブリと確認書を締結した。スタジオジブリが中心となって、パークのデザイン・コンセプトをまとめた。
公園の整備・工事などの事業費は全額、愛知県から支出されるとみられる。3ケタ億円の総額は巨大なだが、一般的なテーマパークの建設費用と較べると必ずしも大きくない。
例えば、東京ディズニーシーは2022年度開業を目指す拡張計画だけで2500億円、USJは今年オープンする「SUPER NINTENDO WORLD」だけで600億円を投資する。大規模な計画の割に事業費が抑えられている。
これは目玉となる「ジブリの大倉庫エリア」の施設は園内の既存建築物を改築することや、「どんどこ森エリア」のサツキとメイの家も愛・地球博の際に建設された施設が流用されることなどが理由とみられる。
またテーマパークに多いライド型のアトラクションや、多くのキャストが出演するステージショウといったものもない。パーク全体に自然を活かしたコンセプトが打ち出されており、そうした計画自体が低コスト型ともいえる。
全体計画もより具体的になった。最も大きな施設は「ジブリの大倉庫」で、延床面積は約9600㎡と三鷹の森ジブリ美術館の約4倍の規模だ。ここに常設展示室(1690㎡)、企画展示室(596㎡)、それにカフェテリアとシアター(映像展示室)が設けられる。シアターの座席数は170席、これもジブリ美術館の70席よりかなり大きい。
「青春の丘エリア」にはエレベター棟、地球屋、猫の事務所が置かれる。さらに散策路とサツキとメイの家もある「どんどこ森エリア」で先行開業時は構成される。
今後、「もののけ里エリア」のタタラ場や炭焼き小屋、「魔女の谷エリア」のオキノ邸とハウルの城も予定されているが、先行開業の際の施設面積は1万㎡ほどになりそうだ。
事業費と同時に気になるのが、地元への経済効果かもしれない。これについて愛知県は先行開業時でジブリパークに年間約100万人、5エリア開業時で約180万人を見通す。入場はチケット予約を導入するため、想定来園者に大きな振れはなさそうだ。
そのうえで3エリア時期では年間約350億円、5エリア時期で年間約480億円の新たな消費が生まれるとしている。加えて建設投資の波及効果を全体で約840億円とした。