世界のコミックスとマンガ市場は、依然と成長を続けているようだ。米国のポップカルチャービジネスの調査会社ICv2は、ニューヨークコミコンの開催に合わせて2022年の北米のコミックスとグラフィックノベルの売上げ推計を発表した。
ICv2の調査によれば2022年のコミックスとグラフィックノベル(日本マンガを含む)の売上げは21億6000万ドル(約3200億円)で、前年から4%増加した。これは21年の20億7500万ドルを超えて過去最高の水準となる。
2022年の伸び率は小さいが、2021年は前年比62%増と急成長した後だけに、引き続き高水準を維持してさらに拡大したと言っていいだろう。北米のコミックス/グラフィックノベル市場の好調を印象づけるものだ。
2021年の市場の高い伸びは、コロナ禍での巣籠り需要が大きな理由されている。ICv2は2022年の堅調について、この時期の新たな消費者が引き続き購入しているとする。
ただし2022年のピークは上期で、下期には購入が減退しているともする。巣籠り需要の減速はあるというわけだ。それだけに2022年の実績も勿論だが、今後明らかになる現在、2023年の動向がより注目される。
2022年の売上の伸びを牽引したのは、2021年も力強い成長だったグラフィックノベルである。グラフィックノベルは書籍スタイルでの紙出版で、日本の翻訳マンガのほとんどは北米ではこのスタイルで発売される。このため日本マンガの翻訳出版も2022年は堅調だったと推測されるが、マンガ分野単独の市場規模は今回の発表にはなかった。
また雑誌スタイルで発売されるコミックスの売上げは、ほぼ前年並みだった。さらにデジタルコミックの売上は減少した。しかし定額読み放題のサブスクリプションサービスでの売上は、今回の統計から除外されている。デジタル出版が成長していないとは言い切れず、注意が必要だ。また子供たちが学校に再び通うことになったことで、キッズ向け作品の成長は低かったとしている。