エンタテイメント事業のブシロードが、2019年7月の東証マザーズ市場上場以来初の四半期決算を12月13日に発表した。好調な業績を背景にした株式上場であったが、上場後は事業拡大のスピードがさらに加速しているようだ。
19年8月1日から10月30日まで (2020年7月期第1四半期) の連結売上高は、83億600万円。前年同期比で12.7%の二桁増となった。とりわけ利益の伸びが大きく、営業利益は12億300万円(74.6%増)、経常利益は12億2400万円(75.9%増)、純利益は6億4200万円(85.5%増)になっている。
ブシロードは自社事業を、デジタルとライブの二つに区分しているのが特徴だ。デジタルIP事業にはトレーデイングカードゲーム、スマホアプリゲーム、アニメなどへの製作出資、グッズ・商品化、声優関連などが含まれる。ライブIP事業は音楽や舞台のライブイベント、さらにプロレス、女子プロレス、キックボクシングも含める。スポーツ部門を音楽・舞台と同じライブエンタテインメントとしている。同社のエンタテイメントに対する考え方が現れている。
デジタル事業、ライブ事業とも自社コンテンツの「バンドリ!」のヒットが牽引している。自社配給した映画『BanG Dream! FILM LIVE』は来場者数15万人以上、興行収入は3億円に達した。「バンドリ!」発のリアルバンド「Roselia」の初野外ライブは会場とライブ・ビューイングを合わせ2日間で約4.3万人を動員した。
デジタルIP事業の売上高は59億8600万円(7.3%増)、営業利益7億6000万円(124.9%増)で増収増益だった。9月26日にリリースした「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」が1ヵ月足らずでユーザー数300万人を突破するなどアプリゲームが引き続き好調だった。加えて「バンドリ!」を中心に自社IPが成長し、製作委員会からの配分収入が伸びた。
ライブIP事業の売上高は23億1900万円(29.3%増)、営業利益4億5000万円(27.5%増)。こちらも増収増益だった。「Roselia」の初の野外ライブだけでなく、新日本プロレスの「G1 CLIMAX 29」も10地域の興行で約9.7万人を動員し勢いがあった。新日本プロレスは米国、英国の海外興行も成功している。今後は海外事業に成長を期待する。
利益面を中心に業績が好調だが、通期業績予想の変更はしない。第2四半期以降に複数の新作アニメへの投資の償却があること、新作アプリゲームの費用計上をするためだ。さらに広告宣伝も積極的に展開する予定とする。伸びる利益は、一段の投資に振り向ける方針だ。
積極姿勢は企業投資にも表れている。2020年7月期、上場以後にM&Aや資本提携を通じた事業拡張が続いている。9月にはステージ事業の劇団飛行船と資本業務提携、10月には女子プロレス「スターダム」を事業取得した。さらに11月にはアニメ制作会社のキネマシトラス、サンジゲンに相次いで出資した。パートナー企業との関係強化にも積極的だ。