ブシロード中期経営計画で3年後に売上げ1000億円、鍵はTCGと海外戦略

ファイナンス決算

 エンタテイメント企業のブシロードは、2022年8月12日に、22年6月期通期連結決算を発表している。前期が決算時期の変更で11ヵ月での業績となったことから伸び率は記載されていない。しかし連結売上高は前年の325億6900万円に対して419億6600万円、対象期間の違いを考えても、大きく伸びたことは間違いない。
 営業利益は33億9000万円、経常利益は51億1300万円、前年は最終赤字2億8400万円だったが当期純利益35億800万円に浮上した。利益面ではJ-LODliveといった国の補助金や為替差益3億1300万円といった要因もあったが、TCG(トレーディングカード)事業の好調が成長エンジンとなった。

 TCG事業の売上高は、アプリゲームをち中心としたゲーム部門の93億3600万円を逆転する152億2600万円だ。前年の88億9800万円(11ヵ月決算)を大きく上回る。
 国内売上げも90億6200万円と前年から40%以上増えたが、海外売上げ大きく成長した。海外向けの日本語版は12億6900万円から21億600万円へ、外国語版は14億8500万円から40億9100万円に増えた。日本語版と外国語版を合わせて売上げは61億9700万円、TCG全体の40.6%を占める。 
 「カードファイト!! ヴァンガード」では、英語版のほかイタリア語、タイ語、韓国語の4ヵ国後を展開、7月1日からは中国語版の展開も開始した。また「ヴァイスシュヴァルツ」の「ホロライブプロダクション」英語版が海外売上げを牽引した。
 こうしたことから海外会社Bushiroad Internationalの売上高も2462万ドルから4848万ドルへ倍増している。

 決算発表に合わせてブシロードは、2026年に向けた中期経営計画も発表している。売上げを3年間で現在の約420億円から1000億円まで引き上げる。およそ2.4倍の野心的な計画になる。営業利益も33億円から120億円を目指す。
 成長のポイントとなるのは、やはりTCGと海外である。まずTCGでは国内シェア3強を実現、これを軸にエンタメ領域でのシェアを伸ばす。モバイルゲーム、コンソールゲーム、カプセル玩具、舞台、それに新日本プロレスリングなどのスポーツなど様々な領域でブシロードのIPとふれる機会を増やす戦略だ。
 また売上高1000億円のうち4割400億円を海外売上とする。TCGでは多言語版による全世界展開や世界各国でリアルの大会・イベント開催を成長の糧とするが、モバイルゲーム・コンソールゲームでも海外ローカライズや海外タイトルのパブリッシングでグローバル化を実現する。
 26年の売上高1000億円実現には、3年間で毎年40%近い成長が必要になる。大きな目標だが近年攻めの経営姿勢で成長してきただけに、その行方が注目を集めそうだ。

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