小学館・集英社系のフランス企業VIZ Mediaヨーロッパ(VIZ Media Europe)は、2017年11月に特撮ヒーロー番組『パワーレンジャー』のフランスにおけるエージェント業務を開始する。シリーズの製作・マネジメントを手がける米国サバン・ブランズから、同作のフランスでのライセンスとマーチャンダイジングを獲得したことを明らかにした。
VIZ Mediaヨーロッパは、来年で25周年を迎える「パワーレンジャー」を全方向に展開する戦略を練る。日本アニメやマンガで培ったノウハウを活かして、ファンコミニティの活発化やマーケティング、小売店向けのサポートなどをする。
「パワーレンジャー」は実業家のハイム・サバン氏が、日本の東映からスーパー戦隊シリーズの権利を得て、米国向けに翻案した実写ヒーロー番組として製作したことで知られている。1993年に第一作がテレビ放送され、これが一大人気を博した。
シリーズは紆余曲折があったが、現在は最初の企画者であるハイム・サバン氏が権利を買戻し、グローバルブランドとして再構築している。2017年には大作映画『パワーレンジャー』が世界公開されている。
映画はフランスでも公開されただけでなく、現在は有力テレビ局Gulliにて第24シーズン『Power Rangers Ninja Steel』が放送されている。今回VIZ Mediaヨーロッパは、サバン・ブランズが目指す「パワーレンジャー」ブランドのフランスでの再構築で協力することになる。
VIZ Mediaヨーロッパは、小学館、集英社、小学館集英社プロダクションが出資するマンガ・アニメのライセンス企業である。日本のマンガ、アニメ、キャラクターを中心に、ヨーロッパ、中東、アフリカでのビジネスを担当する。主な取扱作品には、『僕のヒーローアカデミア』、『ワンパンマン』、『ドラえもん』、『DEATH NOTE』などがある。
そうしたなかで、日本コンテンツに由来はするが、現在は米国発のキャラクターになっている「パワーレンジャー」をVIZ Mediaヨーロッパがフランスのエージェントになるのは異例だ。VIZ Mediaヨーロッパとっても、サバン・ブランズにとっても大きな挑戦だ。
「パワーレンジャー」は米国発の大型キャラクターであるが、現在はハリウッドメジャーなどのメディアコングロマリットと一線を画している。劇場映画の配給は6大メジャーではなく、その次に位置するライオンズゲートと手を組んでいる。玩具展開でもマテルやハズブロの二大企業でなく、バンダイが中心だ。独立系企業と組むことで、よりアクティブな事業を可能にしている。
そのなかでフランス展開にあたって、パートナー企業にVIZ Mediaヨーロッパを選んだ。ハイム・サバン氏はもともとフランス出身。自らもよく知るマーケットで、敢えて日系企業に大きな役割を期待する。それだけVIZ Mediaヨーロッパのマーケティング力を評価しているとも言えるだろう。