エピック・ゲームズの100億円クリエイターファンド CGアニメ3作品に出資

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 米国のゲーム会社エピック・ゲームズは、2019年3月にサンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議(GDC)にて資金1億ドル(110億円)の投資ファンドのメガグラント・ファンド(MegaGrants fund)の設立を明らかにしている。
 当初は一体どこに投資するのかと憶測を呼んだが、同ファンドはクリエイター支援が大きな目的なようだ。ゲーム開発者、専門家、メディア、クリエイター、学生、教育関係者に対するサポートに積極的に資金を投じる。このなかにはBlender財団への出資も含まれていた。とりわけアンリアルエンジン(Unreal Engine)の活用に熱心で、ファンドからの出資を通じて、3Dグラフィック関係のコミュニティの強化を目指しているという。

 しかしエピック・ゲームズの関心はゲームだけにとどまらないようだ。11月19日、エピック・ゲームズはCGアニメーションスタジオe.d. filmsが制作する3作品に出資をすると発表した。これまでの投資はゲーム関連だったが、今回は初めてアニメーション関連になる。
 エピック・ゲームズの関心領域がゲームにとどまらず、アニメーションに向かっていることも示している。今回はe.d. filmsが得意とする「リアルタイム・アニメーション(real-time animation)」の技術に注目したようだ。

 e.d. filmsは2007年にモントリオールで設立され、小規模なスタジオとしてクオリティの高い作品に特化してきた。なかでもアニメーション制作における「リアルタイム・アニメーション(real-time animation)」ではパイオニアと目されている。エピック・ゲームズそうした会社の制作を支援することで、アニメーション開発の新技術の普及を目指す。
 出資作品は、e.d. filmsが現進める3つのプロジェクトである。このうちふたつは短編作品の『Hairy Hill』と『Three Trees』だ。『Hairy Hill』は田舎で自然と共存する家族を2Dアニメや紙人形、さらに独自のゲームエンジンも使用したハイブリッドな映像にする。『Three Trees』は子ども向け作品で、3本の木が年月を重ねるなかで、友情を育み、世界について理解していく。作品づくりにあたってはPSD と 3Dを組み合わせアンリアルが使用される。残りのひとつの作品『The Garden』はVRを使ったインタラクティブなミュージカル作品になる。
 e.d. filmsは制作にあたって、芸術と研究の両方の特長を備えたリアルタイム・アニメーションのためのチームを発足させた。3作品はいずれも2020年の完成を予定している。

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