マンガ・電子書籍のサービス企画開発会社ファンタジスタは、英語翻訳マンガの定額課金読み放題のサブスクリプション型新サービスを開始した。2019年11月18日に立ち上がった「Manga Planet」である。「Manga Planet」は大日本印刷(DNP)と共同で開発・運営をするもので、日本マンガの英語翻訳版を手頃な価格と利便なオンラインマンガ配信システムで海外に届ける。
ファンタジスタは海外進出を目指す国内出版社や作家と海外配信ライセンス契約を結び、作品を英語翻訳して配信する。
DNPは出版社に対してManga Planet参画の働きかけるほか、マンガの翻訳から校正、印刷データの生成などの独自の制作システム「DNPマンガオンラインエディトリアルシステムMOES(モエス)」も提供する。これにより高品質な翻訳やデータ作成が確保される。
有料サービスの利用料金は月額6.99ドルで、作品は随時更新・配信される。スタート時には『地球へ・・・』(竹宮恵子)、『犬神・改』(外薗昌也)、『彼女のカレラ』(麻宮騎亜)などの人気作品が並んだ。すでに人気のある作品だけでなく、過去の傑作などの掘り起こしにも注力するという。
「Manga Planet」の特長は、特定の出版社のグループ会社でなく、中立な立場なことである。このため出版社を横断したラインナップを組むことができる。配信スタートの段階で、祥伝社、ホーム社、リイド社、三栄、ぶんか社、海王社、ワニブックス、徳間書店、スターツ出版、ハーパーコリンズ・ジャパン、MUGENUPといった中堅規模の出版社が多数参加する。このほかマンガ家の外薗昌也氏も作品を提供する。
2020年以降には、英語だけでなく多言語での翻訳展開も予定する。2022年末までに3000作品を用意して、有料会員15万人以上、売上高12億円を目指す。事業展開の障害となる海賊版については、海賊版サイトの運営者への取り下げ要請や、働きかけも積極的に行うとしている。
さらに「Manga Planet」ならではの強みがある。すでに運営しているFacebookページのフォロワーである。現在グローバル版だけで84万3000人のフォロワーを持つ。また2015年にスタートしたインド版でも9万8000人がフォローしている。
もともと「Manga Planet」は、DNPの海外マンガファンに対するマーケティング実証実験として2012年に立ち上がった。この際に運営したFacebookページが現在につながっている。これまでは日本マンガの最新情報やオリジナルマンガの英語配信、海外イベントの出展などで活動してきた。これを基盤にマンガ配信のプラットフォームに進出する。
「Manga Planet」が力を入れている地域にも特徴がある。今後の成長が期待出来る東南アジア・南アジアを市場として見据えている。インド、フィリピン、タイでは、マンガファンや関連企業と協力体制を構築している。
これらの地域では日本のマンガ単行本は高額なことから人気や認知度、ビジネスの広がりに限界があった。そこで現地でニーズの高い月額課金で見放題のサブスクリプション型のマンガ配信サービスに力を入れるわけだ。定額課金見放題とすることで、より幅広い層へのリーチも目指している。