日本アニメのグローバル配信大手のクランチロールと米国のアニメ配給会社のセンタイ・フィルムワークスが、北米における日本アニメのBlu-rayやDVDの流通で提携する。2020年9月5日、両社が発表した。
センタイ・フィルムワークスは、クランチロールが北米地域でライセンスを持つ作品の映像ソフトを発売、流通を担当する。提携後の第1弾として、『食戟のソーマ 神ノ皿』、『本好きの下剋上』、『グランベルム』、『ワールドトリガー』の4作品をリリースする。
クランチロールは日本アニメのグローバル配信の世界的な大手。7000万人の登録会員と300万人の有料会員を抱える。そうした基盤を背景に、近年は商品化やイベント運営、ゲーム開発・運営など事業の多角化進めている。
特に北米では日本の権利者から配信権だけでなく、全ての権利を包括したマスターライセンスを獲得することが増えている。しかしアニメビジネスにおいて依然、重要なパートを占める映像ソフトパッケージについては、ノウハウや流通、小売店とのつながりなどを持たず事業化のハードルになってきた。そここでこの分野で経験と実績の高いセンタイ・フィルムワークスと手を組むことになる。
クランチロールは、同様の提携を2016年に業界大手のファニメーションと結んでいた。しかしファニメーションがソニー・ピクチュアーズの傘下にはいる一方で、クランチロールがライバルのワーナー メディアのグループになるなどビジネス環境が大きく変化する。2018年10月に両社の提携は終了する。クランチロールが、新しいパートナーとしてセンタイと手を組む構図だ。
センタイは日本アニメの北米配給の中堅企業で、『けいおん!』や、『バンドリ!』、『ハイキュー!!』などを取り扱う。2019年夏に日本のクールジャパン機構の傘下にはいった。日本アニメの権利獲得という点ではクランチロールとライバルだが、大型作品が多い同社の作品を自社が得意とするパッケージで扱えることは大きい。クランチロールとセンタイにとってWin-Winの提携と言える。