アヌシー映画祭日本特集の全貌明らかに 次世代のアニメーションがテーマ

「NEW MOTIONーthe Next of Japanese Animationー」

 世界最大規模の国際アニメーション映画祭であるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で、今年大規模な日本特集が実施されることがかねてより注目を浴びてきた。その特集の全貌が2019年4月18日、都内アンスティチュ・フランセ東京で開催された発表記者会見で明らかになった。
 記者会見には、今回の「Annecy 2019 - Tribute to Japanese Animation -」の総合ディレクターを担当した東京藝術大学の岡本美津子 副学長をはじめ、フランス大使館文化参事官ピエール・コリオ、文化庁参事官・坪田知広、東京都産業労働局商工部長・土村武史も挨拶した。今回の取り組みの大きさを感じさせるものだ。

 実際に日本特集は、これまでアヌシーで実施されてきた各国の特集と比較してもとりわけ大きなものとなりそうだ。いくつもの企画で、日本のアニメーションを紹介する。
 その特集の軸を貫くのが、企画テーマとして掲げられた「NEW MOTIONーthe Next of Japanese Animationー」である。次世代のクリエイターや新技術に特にフォーカスする。
 岡本は今回のテーマについて、手塚治虫がかつて描いたエッセイマンガを引き合いにだしながら「手塚も感動したアヌシーで日本のアニメーションの次世代を担う若いクリエイターたちを世界に紹介したいと考えています」と決意を語った。

 映画祭の国別特集となると、たいていは過去名作の回顧特集や、巨匠のフォーカスになりがちだ。しかし、「NEW MOTION」をテーマに置くことで、極めて野心的なプログラムになった。
 今回のために選ばれた若手クリエイター26人のファイルには、冠木佐和子や折笠良といったアニメーション作家から押山清高、吉田健一といった商業シーンでの活躍が多いものまで多彩だ。彼らの作品上映に加えて、世界的に評価される作家・和田淳特集やあにめたまご上映会、企画見本市MIFAでの展示会実施などもある。MIFAではVR展示も目玉で、新海誠とAR三兄弟による新作は日本からも話題を呼びそうだ。
 さらに押山清高によるクリエイタートーク「MIFA CAMPUS」、日本で好評の学生向けワークショップAnimation Boot Campのフランス版も面白い試みだ。Animation Boot Campでは国内と異なりこちらもベテランでなく押山清高、りょーちも、板津匡覧と若手が中心だ。

 もちろんアヌシー市民が広く楽しめる企画も用意する。傑作と名高い『ルパン三世 カリオスロの城』は無料の野外上映となる。市の象徴であるアヌシー城でも、ヴィヴァルデイの「四季」をアニメーションとAIを駆使した生演奏でコンサート上映する。

 今回短編部門の審査委員として参加するアニメーション作家の山村浩二も、挨拶で感慨深げであった。「2003年に『頭山』でグランプリ受賞した時はどこのマスコミからも連絡がなく、当時アヌシー映画祭は日本国内では一切知られていませんでした。今回このようにたくさんの方が日本の特集を盛り上げてくださることは、アニメーションの文化のすそ野が広がってきた」と。
 同時に「ネット社会は小さなコミュニティに閉じている。映画祭に日本として参加することで、人と人のつながりが広がることを期待しています」と、映画祭と今回の日本特集の役割の大きさを語った。

 映画祭とMIFAは、6月10日から15日まで6日間にわたり開催される。期間中は、ここで紹介したよりさらに多くの日本関連企画が用意されている。
 そして各コンペティションにも日本作品が多くある。特別上映やMIFAの企画マーケットにも登場する。この夏の日本のアニメーションの一大イベントになりそうな気配だ。 

アヌシー国際アニメーション映画祭2019
日本アニメーション特集

https://jmaf-promote.jp/news/2019/01.html

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