国内大手アニメ会社のアニプレックスが、海外攻勢をさらに進めている。これまでは北米、ヨーロッパに強さを発揮していたが、次の狙いはアジア、なかでも中国になりそうだ。
2019年4月19日、アニプレックスは、今年1月に中国・上海に現地法人 安尼普(上海)文化艺术有限公司を設立したことを明らかにした。連休明け5月7日に本格的に営業を開始する。日本アニメの人気が高い中国市場の開拓を目指すことになる。
安尼普(上海)文化艺术は、2019年1月4日にアニプレックスが51%、そしてソニーグループの中国拠点ソニー・チャイナが49%出資して設立された。本社が置かれる上海は中国のエンタテインメントビジネスの中心で、日本のアニメの人気がとりわけ高い。
日本の代表取締役あたる董事長にはアニプレックスの執行役員後藤秀樹氏、総経理もアニプレックスから平山公通氏が就任している。後藤氏は北米をはじめとするアニメの海外ビジネスの経験が長い。
新会社の事業で注目されるのは、ライセンス、商品化に加えて、中国におけるIP開発を挙げていることだ。近年、日本のアニメは中国で需要が急速に高まり、同国向けの配信や劇場上映、ゲーム化などのライセンス販売が大きな収益になってきた。日本アニメのビジネス拡大にも一役買ってきた。
しかし直近1、2年は海外アニメに対する輸入規制が強まっている。これが日本のアニメ会社の収益にも影響するのでないかと懸念が高まる。
そこで敢えての中国進出、IP開発を掲げるのは、日本からの販売だけでなく、中国で中国市場向けのアニメを製作するとの狙いが透けてみえる。日本作品については、単なるライセンス販売だけでなく、日本と同様のアニメを軸とした総合ビジネス化も視野にありそうだ。
アニプレックスはすでに米国法人で海外展開を積極的に手がけている。フランス、ドイツ、オーストラリアでは現地の有力日本アニメ会社に出資する。
中国ではグループ企業と手を組むグループ全額出資と米国型のビジネスに近い。同時にソニーグループ全体のなかでの中国でのエンタテインメント事業での役割も期待されていそうだ。