アヌシー長編コンペティションラインナップ発表、日本から3作品

アヌシー国際アニメーション映画祭

 世界最大のアニメーション映画祭であるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭が、6月13日から18日に開催される。過去2年間は新型コロナ対策もありオンライン、ハイブリットで対応したが、今年は3年ぶり現地でのフル開催となる。
 そうしたなか5月2日、2022年の長編コンペティション部門の公式セレクション(ノミネート)作品が発表された。既に短編部門、TVシリーズ部門などは発表されていたが、長編部門で最後、全てのコンペティションのライナンップが揃った。

 長編部門は毎年日本からの出品も多いが、2022年も注目の作品が並んだ。長編部門オフィシャルコンペに『グッバイ、ドン・グリーズ!』と『岬のマヨイガ』の2作品、長編部門Contrechampコンペには『幾多の北』が選ばれた。
 全体ではオフィシャルコンペとContrechampコンペ、それぞれに10作品ずつが選出されている。映画祭の最終日には、このなからグランプリにあたるクリスタル賞他の各賞が決定、発表される。

 アヌシー国際アニメーション映画祭は1960年にスタート、60年超の歴史を誇り世界の映画業界から注目される。長編部門は2000年代以降に上映本数や出品国に広がりをみせ、影響力を増している。現在は長編部門オフィシャルコンペに、斬新さ、映像の挑戦などを評価するContrechampを設けることで新しい表現も積極的に取り入れているなど、先駆的な取り組みも特徴だ。

『グッバイ、ドン・グリーズ!』

『グッバイ、ドン・グリーズ!』

『岬のマヨイガ』

『岬のマヨイガ』

 長編コンペの『グッバイ、ドン・グリーズ!』は、いしづかあつこ監督のもとマッドハウスが制作したオリジナル長編アニメーション。少年たちの友情とひと夏の冒険が描かれる。『岬のマヨイガ』は柏葉幸子の児童小説をデイヴィッドプロダクションが川面真也監督ともに映像化した。第76回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞している。いずれも日本では2021年に公開しているが、フランスではアヌシーがプレミアとなる。
 『幾多の北』は世界で高い評価を受けるアニメーション作家・山村浩二監督の初の長編映画になる。フランスで躍進するMIYUプロダクションと共同制作した。山村浩二監督はすでに短編ヤングオーディエンス部門でも『ホッキョクグマすっごくひま』がノミネートされており、長編と短編の双方でコンペ入りの快挙となった。
 日本作品ではないが長編コンペには、ヨーロッパ4ヵ国共同製作、ピエール・フォルデ監督の『めくらやなぎと眠る女』も選ばれている。原作は村上春樹の短編小説、海外で人気の高い村上だけに、こちらの反応も気になる。

『幾多の北』

『幾多の北』

 アヌシーでは長編コンペ以外でも、日本の作品の上映がある。短編オフィシャルコンペでは、『不安な体』 (水尻自子)、『半島の鳥』(和田淳)、『ガスー』(ひらのりょう)、『骨噛み』(矢野ほなみ)と近年になく多く選ばれた。
 テレビ部門は『Sonny Boy -サニーボーイ-』、夏目真悟が監督・脚本・原作も務めたマッドハウスの意欲作である。受託作品部門にはh&sのアニメCM「スパイ アンドー誕生」編が並ぶ。こちらは国際共同製作で日本もそのひとつ。

『Garden of Remembrance』

『Garden of Remembrance』

 制作中の作品の過程を見せるWork in Progress部門には、山田尚子監督の新作短編『Garden of Remembrance』がラインナップされている。完成作品は15分を予定しているが、製作には『平家物語』のサイエンスSARU、それにエイベックス・ピクチャーズも加わっている。トークセッションは1時間15分を予定するだけに、山田尚子監督の創作についてたっぷり語られそうだ。
 Working in Progress部門には、もうひとつ『ONI: Thunder God’s Tale』がある。Netflixアニメーションによる米国作品としているが、監督は堤大介、トンコハウスの金沢スタジオで制作され、岡田麿里の脚本、マーザ・アニメーションプラネット、Megalis VFX、アニマの参加も発表されている。制作発表から時間が経つが、いよいよ完成が近づいているようだ。
 Netflix作品では今年9月にリリース予定、石田裕康監督の『雨を告げる漂流団地』がNetflixショウケースというセッションの主要作品として紹介される予定だ。ギレルモ・デル・トロの新作『ピノキオ』などと共に並ぶ。

 また湯浅政明監督がMIFAキャンパスと呼ばれる学生向けのイベントでパトロンと呼ばれる役割を果たす。プログラム全体のメンター的な存在になる。湯浅監督は自身の経験やキャリアを語るほか、最新映画『犬王』を上映した翌日には若い観客からのQ&Aにも答える予定だ。さらに招待上映として吉浦康裕監督の『アイの歌声を聴かせて』もあり、日本アニメに関心のあるファンも満足度が高い映画祭になりそうだ。
 コロナ禍での渡航制限が続く中で、今年は日本からの参加者は例年より少なそうだ。しかし作品に限れば、映画祭からは引っ張りだこと言ってよさそうだ。

アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/home

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