ウォルト・ディズニーがNetflixに対抗する月額課金型の映像見放題サービス「Disney+」の概要を4月11日に発表した。価格設定などは予想の範囲内だが、それでも人気コンテンツが目白押しだけに注目が一気に増している。
それでは対するNetflixはどの様な戦略を立てるのだろうか。こちらも4月16日に決算発表会を開催、投資家向けに自社の方針を明らかにしている。
まず気になる決算だが2019年12月期第1四半期(1月~3月)で、売上高45億2100万ドルで前年比で22.2%増。成長率は鈍化しつつあるものの引き続き二桁成長を続けている。営業利益は4590万ドル(10.2%増)、当期純利益は3440万ドル(18%増)と好調だ。
また契約世帯数は全世界で1億4886万人。四半期(1月~3月)だけで960万人増加したが、米国内は174万人で、大半は海外の786万人である。Netflix のビジネスの成長は、いまでは多くを海外に依存しているとみていいだろう。また米国をはじめ世界各国で値上げを実施しており、2019年は価格設定もビジネス成長の鍵だ。とりわけ巨額のコンテンツ投資によりキャッシュフローの赤字が依然続いているだけに、収入の拡大は火急の課題だ。
Netflixならではの成長の原動力となっているひとつは、非英語圏のオリジナル番組の成功である。代表的なのは、米国アカデミー監督賞も受賞したスペイン語映画『ROMA』がある。また4月15日には新たにインド映画15本のオリジナル企画を発表した。
こうしたローカルtoグローバルな作品は、アニメーションについても同様だ。4月16日には同社にとって初となるアフリカ産アニメシリーズ『Mama K’s Team 4』の製作発表もしている。物語の舞台は未来的な風景のあるザンビアの都市ルサカ。4人の少女が秘密エージェントになって世界を救うというものだ。南アフリカとイギリスのアニメーションスタジオが共同制作する。
またライバルの攻勢が強まるなかでNetflix方式とされてきた、独特の運営体系にも一部変化が見える。なかでも注目を浴びるのが、これまで門外不出、顧客にも明かさないとされてきた視聴データの一部公開だろう。
今回挙げられた作品では、ベン・アフレック主演のオリジナル映画『トリプル・フロンティア』が配信後4週間で5200万世帯以上、ケビン・コスナー出演のオリジナル映画『ザ・テキサス・レンジャーズ』が配信1ヵ月で4000万世帯以上、さらにアメコミ原作の『アンブレラ・アカデミー』は同じく4500万世帯が視聴した。わずか1ヵ月で数千万の視聴者を獲得しているのが分かる。
またイギリス限定ではあるが、週間視聴番組トップ10の発表も始めた。日本アニメに関しては、視聴回数が公開されないと制作者のモチベーションにも影響があるとの指摘が多い。こうした動きがうまくいき、日本を含めた他国にも同様のサービスが広がることを期待したいところだ。