国内のアニメーション製作企業が集まる一般社団法人 日本動画協会は、2018年4月16日に“知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議における 「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」の決定について”と題した意見表明を発表した。13日に政府の知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議にて、「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」が決定したことに対応したものだ。
「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」は、インターネット上のマンガ、アニメ、映画などの違法アップロードを紹介するウェブサイトへの緊急対策をまとめたもの。17年夏以来、利用者が増加する一方で対策が困難として、緊急処置としてインターネットへの接続サービスを提供するプロバイダーに該当サイトへのブロッキングを要請するという。
具体的なサイトとして、「漫画村」、「Anitube」、「Miomio」などがあがっている。海賊サイトの影響は、書籍・雑誌の売上が急落し、正規デジタル版の利用の伸びが落ち込んだマンガを中心にした論議となっていた。しかし、アニメ関連のサイトも含まれていることから、日本動画協会の意見表明につながったとみられる。
日本動画協会は、インターネット上の海賊版サイトが海外ビジネスを進めるうえで大きな阻害要因になっているとし、さらに権利者に中小企業が多いことから監視・削除が過度の負担となっているとする。そのうえで今回の決定は、閣議でもサイトブロッキングへの慎重な意見に配慮したとしている。
すでに発表されている出版関連団体や出版社と同様に、緊急対策について前向きに捉えている。また映像関係団体では一般社団法人日本映画製作者連盟、一般社団法人日本映像ソフト協会、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構も同様の見解を発表している。
一方で、プロバイダー自身やIT関連団体、学術関係者からは、法制度にもとづかかないものとして反対意見が多くだされている。コンテンツ業界とIT業界で、対応が大きく分かれたかたちだ。