アニメーション分野で世界最として知られるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭は、3月14に2018年の短編部門のオフィシャルコンペティションを発表した。
このうち日本からは、短編部門(short Films)に山田遼志氏の『Hunter』、学生部門(Graduation short Films)には谷耀介氏の『怪獣神話』が選ばれた。短編にはこのほか、Off-Limits Short Films、Perspectives Short Films、Young Audiences Short Filmsの3部門があるが、こちらでは日本の作品は選ばれなかった。
『Hunter』と『怪獣神話』は、2018年6月11日から16日の映画祭期間中、現地のシアターにて上映される。映画祭最終日に発表されるグランプリをはじめとする各アワードの候補作品となる。
山田遼志氏は多摩美術大学大学院アニメーション専攻の出身、在学中よりアニメーション制作をし、国内外の映画祭で上映され受賞を重ねてきた。2014年には学生部門でも、アヌシーのコンペティション部門に選ばれている。
大学院修了後も、広告映像に携わりながら、作品制作を続けてきた。現代社会の抱える不安や恐怖などをモチーフとし、狂気的な作風で制作を続ける。2010年多摩美術大学在学中にアニメーション国際映画祭デビュー。
世界最大のアニメーション映画祭である、アヌシー国際アニメーション映画祭はじめとし、国内外で数多く上映されている。手描きの筆致に絞られた色彩で不安をや恐怖を描き出す。新作『Hunter』でもそうした特長が現れている。
一方、谷耀介氏は東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の第九期生。『怪獣神話』は、その修了制作である。13分あまりの作品は、2DタッチのCGである怪獣の戦いを描く。
これまでも数多くの学生、作品を世界に送り出してきた東京藝術大学大学院の実力を、またアヌシーで示したかたちだ。現地での活躍を期待される。
映画際によれば、2018年の応募は地元フランスからが一番多く、米国、イギリスがそれに続いた。エントリーは全世界93ヵ国3050作品にも及んだ。応募作品が多いだけに、オフィシャルセレクションも競争率は高いながら少なくない。コンペインは130本、 短編46本、学生48本、Off-Limits 8本、Perspective s18本、Young Audience 8本である。
全体の大きさから比べると、日本から短編コンペティション2作品のみは、2017年に続きやや寂しい数字だ。今後明らかにされるテレビ部門と商業部門、さらに長編映画部門のコンペティションに期待がかかる。それぞれ発表は3月末、4月末となっている。上映作品が決まることで、映画祭に向けた盛り上がりもどんどん大きくなりそうだ。
アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/
[日本からのオフシャルコンペティション作品]
短編部門
『Hunter』 山田遼志
学生部門
『怪獣神話』 谷耀介