毎年フランスで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭/MIFAは、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて、2020年はオンライン開催に移行する。しかしオンラインでも、映画祭、国際見本市ともアニメーション分野での世界最大に相応しい規模になりそうだ。すでにリアルイベントで予定されていたかなりの企画を、オンラインで実施することが明らかになっている。
5月19日には映画祭の目玉であるアワードのノミネートにあたるオフィシャルセレクションの最後、長編部門、長編部門(Contrechamp)、VR部門の作品が発表された。長編部門と長編部門(Contrechamp)は各10作品、日本からも2作品ずつ、合計4作品が選ばれている。映画祭主催者によれば、本年は世界各国より76本のエントリーがあった。
長編部門は、『ぼくらの七日間戦争』(村野佑太監督/制作・亜細亜堂)と『ルパン三世 THE FIRST』(山崎貴監督j/制作・トムス・エンタテインメント、マーザ・アニメーションプラネット)。いずれも2019年末に国内公開されている。
『ぼくらの七日間戦争』は、宗田理の小説を原作に2020年に舞台を置き換えて「大人への挑戦」をテーマにアニメ化した。『ルパン三世 THE FIRST』はシリーズ初のフルCG映画となった注目作、ヨーロッパでも人気の高いキャラクターだけに注目されそうだ。
長編部門(Contrechamp)は、新しい映像や斬新な表現などを審査基準とする部門。こちらは岩井澤健治監督の『音楽』、そして清水ハン栄治監督の『True North』となった。
『音楽』はすでオタワ国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得、昨年の新千歳国際アニメーション映画祭でもノミネートされている。アヌシーでも活躍が期待される。『True North』は北朝鮮で収容所に送られた家族の物語で、アニメーション制作はインドネシアで行われた。
日本以外からも注目作品は多い。日本で公開され絶賛を浴びた『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作『Calamity, a Childhood of Martha Jane Cannary』、2011年に『ラビの猫』でグランプリ(クリスタル賞)を受賞しているジョアン・スファール監督の『Little Vampire』は、是非、押さえておきたい。
ロシアの巨匠アンドレイ・フルジャノーフスキーの『The Nose or the Conspiracy of Mavericks』、そしてContrechamp部門に中国の新鋭MTJJ木頭監督の『羅小黒戦記』がセレクションされている。中国2Dアニメの実力を知らしめたとしてすでに日本国内でも話題なった作品だ。国や世代を超えた傑作が集まるのはまさに国際映画祭だからと言える。
アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/
長編部門 セレクション
https://www.annecy.org/programme:lm
長編部門(Contrechamp) セレクション
https://www.annecy.org/programme:lmcc
VR部門 セレクション https://www.annecy.org/programme:vr