2017年度(平成29年度)の概算要求が、2016年8月31日に各省庁より財務省に提出された。このうち経済産業省の要求には、(株)海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の予算として350億円が盛り込まれた。財政投融資を通じたものになる。
クールジャパン機構は2013年に設立された官民共同出資の投資会社である。日本のクリエイティブやコンテンツの海外支援展開を目指し、関連企業・事業への出資を行っている。これまでに、日本アニメの海外向け配信のアニメコンソーシアムジャパン、ポップカルチャー情報配信のTokyo Otaku Mode、映像ローカライズのSDIメディアグループなどに出資する。
コンテンツ産業への出資も多いが、金額的にはむしろ食やアパレル・生活用品の小売り事業がより目立つ。アジア地域での商業施設、日本食販売・レストランの海外展開などである。2019年度も「ベトナム・中東等のアジア地域の低温物流施設の保有・運営事業等」を掲げており、350億円の予算の多くは、そうした事業に向けたものになりそうだ。投資案件はこれまでに17件だが、今後も精力的な活動が続きそうだ。
このほかにも経済産業省の概算要求には、コンテンツ産業に関わるものが明らかになっている。日本コンテンツの海外発信・展開を支援として、コンテンツ産業新展開強化事業に8億2000万円が計上されている。こちらは前年度の6億5000万円からの増額となる。
また2016年度補正予算として、コンテンツグローバル需要創出基盤整備事業の60億円が盛り込まれている。こちらはコンテンツの字幕・吹替えなどのローカライズ、国際見本市への出展などのプロモーション費⽤を補助するものだ。現在は「JLOP」と呼ばれている事業にあたる。さらに権利情報データベースの構築によるスムーズな権利許諾を通じたコンテンツの海外展開の推進を目指す。