ハイクオリティな「マンガアート」を世界に、集英社が数量限定・ブロックチェーン証明書で販売

マンガアート

 出版大手の集英社が、2008年より行ってきたマンガ原画のデジタルアーカイブを活用したマンガアート販売事業に乗り出した。2021年3月1日に「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」とタイトルしたサイトをオープン、人気マンガ家の複製原画の販売をスタートした。
 第1弾は尾田栄一郎の『ONE PIECE』、池田理代子の『ベルサイユのばら』、坂本眞一の『イノサン』の3作品からそれぞれ十数点の作品が並ぶ。いずれも日本を代表する作家の代表作、さらに作品ジャンルを変えることで、この事業の幅に広さをアピールする。

 事業の特徴は、クオリティの高さにこだわっていることだろう。販売される作品は雑誌連載などで使用された原稿やポスターや展覧会などのための描き下ろしされたイラストなどである。それを最新の技術で再現する。
 通常の原稿はもともと短期間の間の印刷を前提にしていることから、光に弱く、劣化も早い弱点がある。マンガアートでは耐光性のあるインクを用たり、保存性の高いコットン100% の用紙を使うなど鑑賞や保存にも配慮した原画以上の保存性を発揮する。これは集英社が2008 年から実施しているComics Digital Archives(CDA)のカラー原画の高精度デジタルスキャン・撮影の技術が活かされている。

 作品の希少性もポイントのひとつになる。全ての作品は5部から20部と制作枚数を絞っている。それに作家の直筆や印判のサインがつけられる。価格は第1弾で約20万円から約50万円としている。高いクオリティと限定性もあり、やや高めだ。
 希少性を支えるツールのひとつが、全ての作品につけられるアート分野のブロックチェーン事業をてがけるスタートバーンによるブロックチェーン証明書である。この証明証をつけることで全ての所有履歴がデジタル上に記録されていく。真正性保証することで作品の価値を担保するだけでなく、転売への抑止力も発揮しそうだ。

 さらに新しいビジネスモデルとして様々な可能性を持つ。従来マンガ原稿のデジタルアーカイブ事業は費用がかかると出版社には少なからぬ負担になってきた。デジタルアーカイブの成果が利益につながれば、アーカイブ活動も促進される。第1弾の作品はおよそ50点、全て販売すれば数億円の売上になる。少なくない金額だ。
 もうひとつは出版自身による越境EC事業の可能性である。「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」のサイトは日本語と英語の2か国語仕様。購入は日本国内だけでなく、アジア、北米、オセアニア、ヨーロッパでも可能としている。海外のファンのニーズにも応える。
 日本のマンガは海外でも人気が高く、関連グッズは人気が高い。しかし各国にグッズ販売のライセンスを受けた企業があったり、単価の低いグッズは海外向け作業が多く発生するとなかなか利益化が難しいとされる。プレミア商品のアートに絞ることで、新たなビジネスチャンスも生まれる。マンガの魅力を伝える原画が新たなカルチャーとビジネスを生み出すのか、大きな挑戦になる。

「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」 https://mangaart.jp

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