中国国内で日本アニメを正規配信するIT企業のビリビリが、2018年3月28日米国のナスダック市場に上場し堅調なスタートを切った。
初値で9.8ドルをつけた後、積極的な買いを集めて株価は上昇、高値では11.26ドルとなった。続く29日も安定した取引を続けて終値は11ドルとなった。時価総額は軽く3000億円を超える。
ビリビリは今回の上場で4億8300万ドル(約510億円)の資金調達をおこなった。ビリビリの2017年の売上高は3億7490万ドル(約400億円)、年間の売上高を大きく上回る資金を得たことになる。
ビリビリは2009年に、アニメやゲームファン向けの動画配信サイトとして中国上海でスタートした。スタート当初は違法にアップされた日本アニメを中心とした海賊版サイトであったが、2010年代半ばには日本から正式にライセンスを購入する正規配信サイトにビジネスを転換させている。
視聴者が画面にメッセージを書きこめるのが特徴で、日本のニコニコ動画から大きな影響を受けているという。プラットフォームを中心に活躍するアーティストやタレントも多く、いまではポップカルチャーの作品、情報発信の大手となっている。
ビリビリによれば、同社のアクティブユーザーは7180万人。さらに企業価値を高めているのは、そのユーザーの年齢の若さ、全体の82%以上が18歳以下というユーザー属性にある。
しかし、同社の売上高の大半は、よく知られた配信サービスではない。広告や110万人の有料会員料金といった動画サービスの売上は全体の2割以下、83%はアプリやオンラインゲームからのものだ。同社には『アズールレーン』や日本からライセンスを受けた『Fate Grand Order』といったヒット作がある。
一方で、業績は依然赤字となっている。資金調達による事業の拡大で、まず企業の成長という狙いがあるとみられる。中国の株式市場でなくまず米国市場としたのは、米国の投資家が中国の新興成長企業に積極的なことも理由にあるだろう。
米国の株式市場では、今年はさらにアイチイーの上場も控えている。こちらも中国の動画配信サービスで、中国の大手IT企業百度の子会社だ。日本アニメにも積極的で、日本企業からの人気作品のライセンス獲得でビリビリと競うライバルでもある。