経済産業省は平成30年度(2018年度)の概算要求で、次年度のコンテンツ産業、クールジャパン関連事業の方向性を明らかにしている。コンテンツ産業の新展開強化の予算を減額する一方で、異業種連携によるクールジャパン需要喚起事業では予算の大幅な増額を目指す。
概算要求は次年度の国の予算づくりにおいて、各省庁が必要とする予算の概要を提出するものだ。これを基に議論を重ねて、予算が作成される。コンテンツ関連やクールジャパン推進などのアニメやマンガ・ゲームに関連する事業も含まれる。
コンテンツ関連事業は経済産業省の予算の中では大きな割合を占めるわけでないが、その予算組みからは国のこの分野での政策の方向性が読み取れる。今回、これに大きな変化があった。
ひとつはコンテンツ産業新展開強化事業の要求額が本年度の6億円から25%少ない4億5000万円に減額されていることである。同事業には、コンテツ分野での国際間の連携事業、また東京国際映画祭やJapan Content Showcaseといったコンテンツ関連イベントの実施が含まれていた。今後、こうした取り組みがこれまでより弱くなる可能性が高い。
一方で、産業界・教育関係者・地域等と連携したクールジャパン需要喚起事業の要求額が1億円から7億5000万円に大幅に増額されている。同事業には、国際的な展示会・イベントでの業界を横断した展開を挙げている。ここには食や健康、地域産品、スポーツの他にコンテンツも含まれる。コンテンツ産業新展開強化事業の一部はこちら移されたとも考えられる。
コンテンツ産業単体ではなく、異業種との連携をより強く打ち出したのが今回の概算要求と言える。また2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博の誘致にも言及しており、国単位の大型イベントとクールジャパンやコンテンツの連携を目指している。
これとは別にクールジャパン関連では、財政投融資により引き続き((株)海外需要開拓支援機構を通じた産業投資も続ける。平成29年度(今年度)は210億円を計画しているが、平成30年度(次年度)はさらに40億円増額となる250億円を要求する。
日本のコンテンツやクリエイティブを基盤にした企業やプロジェクトに出資することで、クールジャパン政策の推進を目指す。