米国カリフォルニア州サンディエゴ市は、2017年6月30日に、エンタテインメントの巨大イベントとして知られるコミコン・インターネショナル(サンディエゴ・コミコン)が今後少なくとも5年間、2021年までサンディエゴ市で開催すると発表した。ケビン・フォールコナー市長が記者会見で、コミコン運営側と合意に達したことを明らかにし、その内容は同市の公式サイトでも伝えられている。
7月19日に開幕する今年のコミコンを前に、サンディエゴ市にとってはうれしいニュースだ。市長はコミコンが地域雇用や近隣経済の活性化を通じてサンディエゴに大きな利益をもたらしていると説明する。また期間中の経済波及効果は1億3500万ドル(約150億円)、280万ドル(約31億円)の税収につながると試算するほど、市の経済にインパクトが大きい。
コミコン・インターネショナルは、1970年に参加者わずか300人のアメリカン・コミックスのファンイベントとしてスタートした。しかし、90年代から2000年代にかけて、映画やテレビ番組、ゲーム、それに日本のアニメやマンガも巻き込んだ一大エンタテイメントイベントに成長した。現在の参加者は実数で13万人以上、延べでは40万人近くに達しているとみられる。
スタート以来、開催地はサンディエゴから離れたことがなく、サンディエゴ・コミコンと通称される理由でもある。それでもサンディエゴ市が開催地の延長を喜ぶのには理由がある。これまでの契約では2018年までの開催が保障されたのみ、その後は未定とされていた。
年々注目を増すコミコンには、エンタテイメント業界関係者やファンが多数訪れることから、その収容能力が限界に達している。コンベンション会場は常に完売で、近隣のホテルのホールで各社が独自のイベントを開催するほど不足している。宿泊施設の不足や高騰、駐車場の不足、交通の不便さの問題が毎年指摘される。これを理由に、ロサンゼルスやラスベガスへの移転を期待する声もある。
これに対してサンディエゴ市は、コンベンションセンターの拡張や、ホテル業界との契約によるオフィシャルでの宿泊施設の提供を約束する。これが契約延長につながった。
サンディエゴ・コミコンが来場者数の上限を設ける一方で、ライバルの大型イベントの成長が続いている。毎年秋に開催されるニューヨーク・コミコンは、来場者数だけをとれば2016年にサンディエゴ・コミコンを超えた。同じく7月に近隣のロサンゼルスで開催される日本ポップカルチャーに特化したアニメエキスポも参加人数が伸び続け、サンディエゴ・コミコンに匹敵する規模になっている。
そうしたなかでサンディエゴ市との二人三脚でサンディエゴ・コミコンがどのような成長を目指すかも問われている。