米国のコミック業界の関係者の投票によって選ばれるアイズナー賞(The Will Eisner Comic Industry Award)は、同国でもっともよく知られたコミックのアワードだ。毎年夏、サンディエゴ・コミコンの会場で、受賞作品、受賞者が発表される。
夏のイベントに先立って、サンディエゴ・コミコン、そしてアイズナー賞の主催であるコミコン・インターナショナル(Comic-Con International)は、アワードの候補を発表した。部門は、日本作品がノミネートの大半を占める海外作品米国版<アジア>最優秀賞(Best U.S. Edition of International Material-Asia)を含めておよそ30部門。候補に挙がった作品は120作品を超える。
このなかで、日本の人気マンガ家・小畑健氏の画集『blanc et noir』が、コミック関連部門の最優秀賞候補に他の4作品と共に選ばれた。アイズナー賞は米国で発表された作品を対象としているが、画集『blanc et noir』は2016年5月に米国のVIZ Mediaから翻訳出版されている。コミック関連部門は作品そのものでなく、今回のようなイラスト集や伝記といった幅広い書籍を対象としている。
『blanc et noir』は、『DEATH NOTE』や『ヒカルの碁』で知られる小畑健氏の2001年から2006年までの作品や描き下ろしを収録した。日本のマンガ家の画集が米国で翻訳出版されるケースが少ない中で、ピックアップされた。
アイズナー賞は米国で出版されたコミックを対象としているが、売上では米国コミック界に貢献の大きな日本作品のノミネートは海外作品米国版<アジア>を除くとほとんどない。日本との出版スタイルの違いや出版時期のずれなど、なかなか比較しづらいといった点も理由にあるとみられる。
海外作品米国版<アジア>以外では、近年は、受賞からも遠ざかっている。本作の受賞にも期待がかかる。
一方、海外作品米国版<アジア>部門は、今回も6作品のうち5作品までが日本のマンガだった。浅野いにおの『おやすみプンプン』(VIZ Media)、高野苺の『orange』(Seven Seas)、『手塚治虫物語―オサムシ登場』(伴俊男/手塚プロダクション: Stone Bridge Press)、東村アキコの『海月姫』(講談社USA)、そして鶴田謙二の『冒険エレキテ島』(Dar Horse)。
またコミックの殿堂入りの候補として、高橋留美子氏の名前も挙がっている。いずれも7月のサンディエゴ・コミコンで発表される。
アイズナー賞(The Will Eisner Comic Industry Award)
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